日常能力〜にちのう〜

第56話　僕の選択

前回までのあらす…「してる暇なんてないよなぁ！！！」

くっ、こいつ前回のあらすじにまで入ってきやがった。

「『プレスト』！ラキの動きを早くしろ！」

「センキューリス！」

『プレスト』で身体の動きが早くなった。これに加えて『ストレングス』も使って、蹴る力を上げればさらに早く移動できる。

「ほらほら、逃げてばっかじゃ終わらないぞー？」

くそっ、こっからどうすればいいんだ。

「『タイムストップ』！」「『タイムストップ』」

こいつ被せてきやがった！

「使わせるわけないだろ！！ほらほらほらほら！」

早くこの状況を打開する方法を考えろ。ラキ！

『タイムストップ』は被せられる、『ハンドガン』はロールで流される、真正面から戦ったとしても、戦闘経験は恐らく黒野の方が上だ。

とりあえず、一旦『グラビティ』で空中に逃げよう。その後、上から『サイコキネシス』で地面に叩きつけられるか試してみるか。

「・・・今だ！『グラビティ』」

「ほう、空中に逃げたか」「逃げるだけじゃない！『サイコキネシス』！」

これで黒野を地面に押さえつける。頼む、動かないでくれよ。

「『サンダー』」ﾋﾞﾋﾞﾋﾞｯ!

「グハッ…」「ラキ！」

電気で攻撃してきたか…少し油断していたから当たってしまった。

それに、電気で痺れて動けない…。

「ふぅ…ヒヤヒヤさせんじゃあねぇよ」

「黒野ォ！『プレスト』！」

ダメだ、リス…今近づいたら…。

ﾋﾞﾋﾞﾋﾞｯ! ｶﾞﾌｯ！

「はぁ、『サンダー』の応用だ。『サンダー』は威力を強くしすぎると扱えなくなる。だったら、弱い威力にしたまま身体に纏わせる。そして、纏わせたところに触れた相手にだけ威力を上げる。そうすれば、触れた瞬間感電する防御の完成だ」

黒野のやつ、僕よりも『超能力』を扱えてやがる。

「リス…か、なにかやられたら大変だ、先に貰っておこう」

そう言って、黒野はリスの体に触れた。そしたら、髪の毛が「真ん中から赤色に染まって」行った。

それと同時に、リスは力が無くなったように倒れた。

「リス…！」

「どうだラキ、悲しいか？ユウが『ロール』を解除した瞬間に戦えばよかったものを…お前は詰めが甘いんだよ！」

黒野の後ろにいるユウが、静かに立ち、『テレパシー』で会話をしてきた。

(俺は黒野がラキやアヤメに近づいたら、『ポイントロール』で黒野の手を2つとも折る。いいか？)

別に構わない、全ての罪は僕が被る。二言はないさ。

(わかった)

「さてと、自分殺られたいよーって人手挙げて？」

ｽｯ…

「アヤメ…いや、美涼か。美涼の持っている『固有力』は『分ける』…だったっけ？」

「あぁ、そうだ」

「うーん、まぁいいか。貰えればそれで。『タイムストップ』」

!?タ、タイムスト…、

バタッ…

「勘だ。ただの勘だ。なにか企んでいる気がして、あえて時を止めてから奪った」

「ユウ！『ポイントロール』で黒野の手を折れ！」

「わかった！」

「させないよ、「『テレポート』！」」

使ってくると思っていたよ、曲げれる前に、近づいて『固有力』を奪うと企んでいるだろうと思っていたのさ。

「させないよ、喰らえ！『ウォーター』！」

水を手から出して、黒野を遠ざける。

「『ファイア』」

ｼﾞｭﾜｱｱｱ…

くそっ、蒸発した水の湯気で何も見えん…。

でも、1つ確信を持てることがある。

ここにいると死ぬ

ごめんユウ…『テレポート』。離れた場所に飛ぼう。

…だんだん見えるようになってきた。

やっぱり、黒野はユウの『固有力』を既に奪っていた。

「どうだいラキ君？君の友達を見殺しにした気分は」

「違う！僕は…」

「違わないね、君は自分が殺されるかもしれない状況で、一緒に居たユウを犠牲にして離れた場所に移動した。違うかい？」

………

「ま、答えたくないなら答えなくていい。もうすぐラキくんも同じところに行けるのだからな」

・・・。もういいや。

「ほう？近づいてくるのか逃げずに来るのか」

「あぁ、僕はもう諦めた。素直に『固有力』を渡すよ」

「まだ勝てるかもしれない状況なのにか？」

「勝てる？戦闘経験はそっちが上。僕は平和的な解決しか頭にないお花畑…勝ち目があるのはどっちか、明白だろう？」

「なら、その行為に俺は賞賛を送るよ。なにか最後に言いたいことはあるかい？」

最期に言いたいこと…か。

「次の世界では、友達になろう」