テラーノベル
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【「WaveVibe」30階・社長室】
片付けは無言の作業だった・・・デスクの引き出しを開け、中身をダンボール箱に移す・・・それだけの動作をジンはただ無言で繰り返していた
浜崎はそんなジンを少し離れた場所から眺めていた、そしてやがて彼は独り言のように口を開いた
「実は、私のワイフはロシア人でしてね」
ジンの手が一瞬だけ止まったが、すぐにまた動き出した
「いやぁ~、当時はこんな自分なんかに、あんな美しい人が結婚してくれるなんて信じられなかったですよ」
浜崎は窓の外に目をやった、暗くなりかけた夜景がビルの窓に反射して、老いた顔に細かい影を作っている
「彼女が笑うと周りの空気が変わるんです、冬の朝の湖に日が差し込むようにね、そういう笑い方をする人でね、初めて会った夜、私はただ彼女の隣に立つのが嫌でした、だって釣り合わないと誰もが思っているだろうと思ってましたからね、誰よりも自分がそう思っていました、言葉だって最初はろくに通じなかったんですよ、それでも彼女は私の隣にいることを選んでくれました、なのに私はいつまでも自信がありませんでした」
「自信?」
短く振り向きもせずジンが返した
「ええ…要は彼女との国際結婚は、彼女の問題ではなく、私自身の問題だったんです」
浜崎は一度、深く息を吸った
「人は時々・・・相手を疑っているふりをして、本当は自分を疑っているんです、こんな自分では足りない、こんな自分ではいつか見捨てらてしまうと・・・その怖さが、大切なものを自分の手で遠ざける」
ジンの手が止まり、沈黙が落ちた
「今はどうなんですか?」
ジンは感情を乗せまいと低い声で浜崎に聞いた
「とても幸せです、彼女のおかげで」
浜崎は静かに言った
「彼女が教えてくれたんです、自信というのは持てるようになってから人を愛するものじゃない、愛しながら少しずつ育てていくものだと・・・」
ジンはダンボール箱の縁に手をかけたまま動かなかった、窓の外で大阪の夜が静かに瞬いていた
無数の光のひとつひとつに、誰かの夜がある・・・誰かの迷いがある・・・
「ですから―」
「もういいです、浜崎さん」
ジンの声は穏やかだったが、キッパリと浜崎の言葉を途中で断ち切った
「彼女と僕のことは、終わりました」
箱を持ち上げ、ジンはようやく立ち上がった、浜崎を見ずに、ただまっすぐ出口の方を見て言った
「もういいんです・・・」
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コメント
2件
ジンさん!それでいいの!? 桜ちゃんを巻き込みたくない気持ちは解るけど…このまま何も告げないままなんて😭 桜ちゃん急いでー💦
ジンさん💢ちょいまち! まだ桜ちゃんに直球勝負してないでしょ?! 漱石に頼らず行こうよ✊️ 浜やん🥸までも応援してるじゃない‼️ 韓国帰るにしろキチンと告白しなきゃ😤 桜ちゃんはよう〜💨😭