二人で春の公園に来ている。ピクニックしよう、と言い出したのは阿部だ。渡辺は少し渋ったが、阿部の誘いだというので付き合いのつもりでついてきた。
💙は?弁当ないの?
💚翔太こそ用意してくれてないの?
💙俺が料理すると思う?最近はあべちゃんの方が自炊してんじゃん
とりあえず自販機でペットボトルのお茶を買い、ベンチに並んで座って緑を眺めた。
新芽の季節。
木々は待ち受ける太陽の季節の予感に期待を漲らせ、まだ冬の余韻を残す中でも少し元気になってきたように思われた。
阿部は渡辺の手を握る。
渡辺も気づいて握り返した。
💙ああ、ないとわかると急に腹減ってきた
阿部が笑う。
💚雰囲気ぶち壊し
💙花より団子なんだよ今の俺は
💚桜、まだ咲いてないね
💙梅はこの間散ってるの見たぞ。綺麗だった。でも
💚でも?
💙少し悲しかった
感受性の豊かな恋人を、どちらかと言うと理詰めの阿部は愛しいと思う。
今朝も朝のニュースで天気図を見ながら、今日の天気を科学的に予測していた。
もはや毎日の習慣になっていて、そのことについて深く考えたこともなかった。
渡辺にとっては、寒い、あったかい、しかないんだろう。
そんな違いも面白い。
💚ねえ、俺がどれだけ翔太を好きか知ってる?
💙ばっ…!いきなり何言い出すんだよ
渡辺の白い肌がたちまち朱に染まり、恥ずかしそうに両手で顔を覆った。
💚可愛い
阿部は、渡辺を抱き寄せて、自分の肩に渡辺の頭を乗せた。
渡辺も阿部に身を任せた。
💙なあ
💚ん?
💙俺たち、ずっと一緒にいられるかな
💚うん、翔太が俺を嫌いにならない限り、ずっと
渡辺は何も言わずに、ふふ、と笑った。
💙何か食べに行くか
💚今度はお弁当持ってこようね?
💙桜の季節?
💚それなら最高だね
二人は手を繋いで、歩いて行く。
この後何を食べるかで揉めるのもまた楽しい。
何もかも違う二人が、一緒にいる。
それって奇跡だ。
おわり。
コメント
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まきぴよさんのあべなべ大好きすぎる😍💚💙 そのおかげで最近このペア推しです🫶🏻
なんこれよいーーーーーー‼︎