ゆきむら。視点
僕は泣くことができなかった。
おばあちゃんが死んだ時も、みんなが泣いていても。
そんな僕は嫌われていた。
親にも。
友達にも。
嫌だった、こんな自分が。
どうして泣けないんだろう。
「どうしてなかないのッ!!!!」
怒鳴られた、これで何回目だろう。
「なんでふつうのかおをしてるの?」
「なかないの?」
友達にも言われる。
そんなこと言われたって。
僕が聞きたい、どうしてこうなってしまったのか。
学校の先生にも言われた。
「そういう顔をしないで。」
嫌な顔をしたつもりはなかった。
ただ、周りのみんなが泣いていた。
悲しくない訳じゃなかった。
悲しいって言っても、信じてもらえなかった。
感情を上手く外に出せなかった。
嬉しい時は無理矢理自分の口角を上げていた。
辛かった。
死にたいって思う時もあった。
泣くことより笑うことの方が簡単だった。
泣き方を僕は知らない。
でもみんなの涙は勝手に出てくる。
僕の涙は出てこない。
これから変われる、なんてそんなことは思わなかった。
今までも、これからも。
本当は辛い、助けてほしい。
そんなことは誰にも言えずに、僕は生きていた。
明日から夏休み、小学校生活最後の。
僕はなんとも思わなかった。
どうせ家で一人だから。
僕を嫌っている親は休みの日などは必ずどこかに行く。
僕をおいて。
去年と同じように、一人で暇をして過ごすつまらない休みだと思っていた。
そんな僕の前に君が現れるまでは。
コメント
3件
神じゃ
えちょッサブから失礼(お前それいい加減やめろ)神っぽいなそれ.