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2話
ポツリと水の落ちる音が頭に響いてくる
ゆっくりと何滴も落ちている音がする
1つの教室をそっと見ると女の子が黒板の前にたっていた
(騎士様、どうか私を守ってください…お願いします)
俺は教室の外から彼女の脳に直接、言葉を掛ける
暖天「お前の願い聞き入れた、お前は何から隠れたいのだ?」
「騎士様、一度でいいんです!姿を見せてください!どんな罰も受けますから!お願いします!」
暖天「その願いは叶えることができぬ…用がないのなら帰るぞ」
「彼氏と別れたいの!別れるには新しい相手を見つけるしかないの!」
暖天「恋の悩みであれば俺ではなく他の者に相談するのだな」
「ま、待って!騎士様」
引き留める声を背中に受けながら俺は来た道を戻る
俺はこの学園では狐の騎士様と呼ばれている
何かから守ってほしいと願いそれを叶えたときお天気雨を降らすからだ
お天気雨は別名狐の嫁入りともいう
狐が嫁入りを人間に見られないように雨を降らすことからそう呼ばれている
そして何かから守るときにお天気雨を降らすことから狐の騎士様と呼ばれている
暖天「つか、なんで騎士なわけ?ヒーローでもよくね?」
?「ここは愚痴を吐く場所でも飴を製造する場所でもねぇよ」
暖天「だって滅多に人が来ねぇんだからいいだろ?土籠先生」
土籠「お前の担任じゃねぇぞ」
暖天「でもこうやって愚痴も聞いてくれるし飴も作ってくれる」
土籠「じゃないとお前が帰らねぇからだろ」
暖天「ねぇ…土籠先生はどう思います?なんでヒーローじゃねぇんだろ…」
?「アンタはなんで呼び名に拘るの?」
棚の上で寝ていた狐のような小さな者が俺の膝に着地した
暖天「ヤコ姉さんもそう思わん?」
ヤコ「別に?アタシじゃないからね」
暖天「冷たい狐だね」
ヤコ「アンタ、噛んでやる!」
ガブッ(ヤコに噛みつかれる
暖天「いってぇぇぇ!」
土籠「ほら、飴を作ってやったから噛むならこっちにしなさい」
土籠先生によりヤコ姉さんを引き離してもらい俺はお面を少しだけズラした
飴を1つもらい口に入れる
棒つきの黄色い飴は甘くて落ち着く味がする
お面は目元が隠れるだけのものだがずっとつけているのは何故か落ち着かない
土籠「今日は雨を降らせなかったんだな」
暖天「俺の姿を見たいって言われたからね…幽霊は見てほしくても見れないでしょうに」
ヤコ「声は聞かせてあげてるくせに」
暖天「声を聞かせてるだけでも有り難いと思ってほしいくらいだ」
それに姿を見られたら言っちゃうじゃん
本当の俺を見つけてほしいって…
次回へ続く________