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はぁぁぁぁぁ。

心の中で深いため息をつく。

今は仕事中。

パソコンに向かってデータ入力中であるが、集中できずにいた。


朝起きたら、また蒼さんの腕に抱き付いて寝てた……。

無意識だったんだけど、蒼さん、ちゃんと眠れたかなぁ。

重かったよね……。

朝、隣を見た時は寝ていたけど、夜中は眠れなかったんじゃないかと不安になる。


蒼さんの生活サイクルがわからなくて、朝食と昼食を作ってきたが、口に合っただろうか?

そんなことを考えていたら、午前中の業務が終了のベルが鳴る。


遥さんは――?

今日は外出か。一人でご飯食べよう。

ラウンジに向かい、お弁当を温める。

朝、蒼さんにLIEEして謝ったけど、返事来てるかな?

自分の弁当を温めている間、携帯を確認すると――。

「あっ、来てる!」

つい、言葉として出てしまった。慌てて口を塞ぐ。

電子レンジからお弁当を取り出し、緊張しながらも返信を確認した。


<お疲れ様。朝食と昼食ありがとう。まだ朝食しか食べてないけど、すごく美味しかったよ。これから出かけて来るから、帰ったら昼食をいただきます。作るの大変じゃない?無理するなよ。あと、夜のことは気にしなくていいから。桜の体温、子どもみたいに温かくて俺も熟睡してた。逆にありがとうな。仕事、頑張れよ。なんかあったら連絡して?>


うわぁぁぁぁぁ。蒼さん、優しい。

美味しいって、ありがとうって言ってもらえるのってこんなに嬉しかったんだな。


こんなに優しいし、イケメンだし、モテるんじゃないかな。

あっ、でも、男性にも女性にも興味ないって言っていたっけ?

女性に触れると、蕁麻疹が出来ちゃうくらいだし。

だから「椿」さんになって仕事をしているんだもんね。

昔、何があったんだろう。

私なんかが首を突っ込んじゃいけない話だけど、もし教えてくれるのなら知りたいな。


「成海!今からお昼?」


その声は――?


「は……。水瀬先輩!」

危うくまた遥さんと言ってしまいそうだった。

社内ではダメなのに、怒られちゃう。


「一緒にご飯食べよう?」

「はい!」

遥さん、今日も持参のお弁当だった。


「水瀬先輩、会社に帰って来たんですね。気付きませんでした」

今日は一日外出だと思った。

「うん。午後からまた違う案件で出かけるけど。ちょっと気になっていることがあって、帰ってきたの」


気になっていること?仕事のことだろうか?

「なんですか?」

私が問いかけた瞬間、遥さんの距離が近くなる。


「蒼に変なことされてないか心配で。あいつ、一応、男だから。桜には触れるみたいだし……」

飲んでいたお茶を吹き出しそうになったが

「大丈夫ですよ。とっても優しいです。逆に私が……」

あっ、これって言っていいのかな。

止めておいた方がいいと直観で判断をした。


が――。

「逆に私がなに?」

遥さんが私の発言を聞き洩らすはずがなかった。

あぁ、もう言い逃れが出来ない。

私は昨日のことを遥さんに話した。


「ごめんなさい。大事な弟さんの隣で寝るようなことになってしまって……」

お姉ちゃんとして、遥さんはどう感じたんだろう。

「……。嬉しい……」

「えっ?」

「私の大事な桜が蒼なんかと……。お姉ちゃん嬉しい!」

私の予想と違い、遥さんは喜んでくれた。


「あいつね、実は昔ちょっといろいろあって……ね……?今は普通に見えるけど、メンタルボロボロで誰とも口を利かなくなった時があって……。でも蘭子ママとか、いろんな人のおかげで立ち直ることができて……。今の蒼がいるの」

蒼さんも過去にいろいろあったんだ。


「あと、布団ないとか本当にごめんね!引っ越す時に、私が今の家に持って行っちゃったの。ベッドも……。早く気付けば良かった」

ごめんと何度も謝ってくれる遥さん。

こっちがお世話になっているのに、私の方が迷惑ばかりかけてごめんなさいって言わなきゃいけないのに……。


「あいつ《蒼》、桜が今朝起きた時、ちゃんと寝てた?」

隣を見ると寝ているようだったし、朝ご飯とか作っている時も起きて来なかったし、眠っているみたいだったけれど……。

「朝、私が起きた時は眠っていましたし、出かける時も起きて来なかったので、たぶん眠っていたんだと思います」

「そっか……」

遥さんは呟き

「蒼、不眠症みたいでさ?過去のトラウマとか夢に見るみたいで……。酷い時は、薬を飲んで寝てるみたいなの。でも眠れているみたいで良かった。私と一緒に住んでいる時も、夜中、急に大きな声出して起きることがあってさ。もしそんなことがあっても驚かないでね」


ごめんねと遥さん。遥さんも弟想いなんだな……。

いいなぁ、私もこんなお姉ちゃんが居てくれたら良かったのに。

遥さんからいろんなことを聞けて良かった。

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