「私の答え」
赤桐(あかぎり)くんの声は、決して強くはなかった。
どちらかといえば穏やかなのに、その言葉が耳に強く残って、脳を 痺(しび)れさせる。
いつから 瞬(まばた)きを忘れていたんだろう。
瞬きだけじゃなく、呼吸も忘れていたと気づいたのは、鼓動が大きくなって、息が苦しくなってからだった。
(赤桐くん……)
赤桐くんは―――本当に私のことを好きでいてくれている。
こんなふうに想ってくれる赤桐くんに、私も誠実でいたい。
だから……ちゃんと、言わなきゃ。
そう思うのに、口を開いても緊張で言葉が出ず、懸命に勇気をかき集める。
「ごめん、なさい」
言葉を押し出した瞬間、胸が激しく痛んだ。
同時に、赤桐くんから優しい笑みが消える。
「……なんで?」
彼の表情が、苦しさをはっきり伝えていた。
理由を言えば、もっと彼を傷つけてしまう。
だけど―――。
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