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古流斬
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チタコロ
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第三章 はぐれ者編
第三話「父からの試練」
夜。
黒のユーマは眠りについていた。
その意識は、真っ白な空間へと引き込まれる。
「……ここは?」
辺りを見渡すユーマ。
その時、一人の男がゆっくりと現れた。
黒いコート。
見慣れた写真と同じ姿。
腰には一本の刀。
男は静かに笑う。
「よう。」
「初めまして……だな。」
ユーマは目を見開く。
「あなたは……。」
男は小さく頷いた。
「黒のラン。」
「世間じゃ”古流斬”って呼ばれてた。」
ユーマは息を呑む。
「父さん……。」
古流斬は照れくさそうに笑う。
「父親らしいこと、一度もできなかったな。」
「だからせめて、一つだけ残していく。」
古流斬は刀を抜いた。
「お前に試練を与える。」
「能力だけじゃ、この世界では生き残れない。」
「必要なのは技術だ。」
その瞬間。
古流斬の姿が消える。
「速い……!」
次の瞬間には、ユーマの背後に立っていた。
「これが暗殺技術。」
「敵に気付かれる前に終わらせる。」
そこから試練が始まった。
足運び。
呼吸。
気配の消し方。
相手の死角へ入る技術。
刀の振り方。
体の使い方。
古流斬は一切手を抜かなかった。
「甘い。」
「遅い。」
「考えてから動くな。」
何度倒されても、ユーマは立ち上がる。
「もう一回!」
「まだだ!」
何度も、何度も。
夢の中で修行は続いた。
やがて古流斬は刀を納める。
「……十分だ。」
ユーマは肩で息をする。
古流斬は静かに頷いた。
「暗殺技術。」
「お前は**45%**習得した。」
「だが、まだ俺には届かない。」
「残りは、自分で掴め。」
ユーマは真っ直ぐ頷く。
「はい。」
古流斬は優しく笑った。
「それでいい。」
周囲の景色が少しずつ崩れ始める。
夢が終わろうとしていた。
古流斬は最後に振り返る。
「ユーマ。」
「母さんを頼む。」
「……あと。」
「はるかに、よろしく伝えてくれ。」
ユーマは力強く答える。
「うん!」
「絶対伝える!」
古流斬は満足そうに笑う。
「じゃあな。」
その姿は光となって消えていった。
⸻
朝。
ユーマは勢いよく目を覚ました。
「夢……だったのか。」
しかし、体には昨日まで感じたことのない感覚が残っていた。
「これは……。」
足運びも、呼吸も、体の動かし方も自然にできる。
夢で教わった技術が、確かに身についていた。
ユーマは急いではるかの元へ向かう。
「母さん!」
はるかは振り返る。
「どうしたの?」
ユーマは少し息を整え、静かに言った。
「父さんに会った。」
はるかの表情が固まる。
「夢の中で。」
「父さんが修行をつけてくれた。」
「それで最後に……。」
ユーマは優しく笑う。
「『はるかによろしく伝えてくれ』って。」
はるかは目を潤ませ、空を見上げた。
「……そう。」
「ランらしいね。」
涙をこらえながら、小さく微笑む。
「よろしく、ちゃんと受け取ったよ。」
窓の外では、静かな朝日が街を照らしていた。
――第四話へ続く
コメント
1件
読み終わりました…第52話、胸にじんわりくる回でしたね。父親・古流斬が娘に試練を与えるシーン、厳しい言葉の裏にある愛情がひしひしと伝わってきました。特に最後の「母さんを頼む」「はるかに、よろしく伝えてくれ」という台詞、ここは泣けます。ユーマの「絶対伝える!」という返事も力強くて、親子の絆が確かに繋がった瞬間だなって思いました。修行の描写も具体的で、成長を実感できる良いエピソードでした✨