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#地雷系
金欠チャン
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ゆずき
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僕の通っている学校は中高一貫制の男子校だ。そんな男子だらけの社会の中で、僕は背も低く、体つきも華奢で体毛も薄かった。顔立ちも女性的で中学生のころから女だと馬鹿にされていたのだ。
そんなある日、姉が気まぐれに僕に自分の制服を着させメイクを施した。僕は恥ずかしくて顔から火が出だったが、姉は「可愛い! 可愛すぎ! 犯罪者になりそう!」と言って何枚も写真を撮った。
姉はアニメやゲームのオタクでコスプレイベントにも数多く参加をしている。そこそこ有名なコスプレイヤーだった。僕は次のコミケから、女装コスプレイヤーとして姉と一緒にコスプレ参加を始めたのだが……。
この動画が広まったことで、本格的にいじめられると覚悟をしていた。
「寝てるところ悪いな編入生! 編入生も見てみろよ!」
うちの学校では高校入試もある。しかし、高校からの編入生の人数は少ない。全体の2~3割……クラス内に7人~8人程度しかいない。特に彼らの声をかけた編入生は得体の知れない人物で、もう9月の中旬――高校生になってから半年近く経っているにも関わらず、彼が誰かと話している姿を見たことがない。
休み時間は勉強をしているか寝ている。昼食も一人で弁当を食べていた。普通ならばどこかのコミュニティに入ろうとするはずだが、彼はマイペースで、辛そうでも無ければ焦るそぶりも一切ない。
編入生は今もいつも通り眠っていたのだが、そんな寝ている編入生を無理やり起こして僕の動画を見せ始めた。編入生は不機嫌そうな顔で彼らを見回す。
「俺は夏目……。苗字くらいは覚えてくれ。」
クラスメイト達は僕の事を指さして、笑いながら話す。
「悪いな夏目君。この動画に映っているオカマ野郎、あいつなんだぜ。」
夏目君は気だるそうに彼らの動画に目を向けたかと思うと、次第に真剣に見始める。そして、僕の顔と動画をマジマジと見比べたかと思うと、僕の肩をポンと叩いて話始めた。
「キミ、名前は?」
「森……森博巳……。」
どうせ夏目君も酷い事を言うのだろうと僕は思っていた……。周りのクラスメイト達も同じことを期待していただろう。僕は僕だけではなく、姉の事も馬鹿にされている気分になり泣きそうだった。ところが夏目君の言葉に、その場にいた人達が全員絶句した!
「博巳っていうのか。名前まで女の子みたいだな……。単刀直入に言うが、エロ過ぎる……男なのに抜ける。お前本当に男か?」
「えっ……!?」
一瞬の静寂の後、みんなが口々に「お前ホモだったのかよ!」とか「キモッ。ヤバすぎんだろ!」と言って爆笑する。しかし夏目君は、そんなクラスメイト達の言葉など意にも介さず、真面目な顔をして話を続ける。
「お前達、この動画をよく見てみろ。俺はこのキャラのコスプレで、これ以上に可愛い娘を見たことがないぜ。そもそも、街中を見渡してみろよ。画面の中のこの子よりも、可愛くてセクシーで抜ける女は何人いる? 本気で、この映像を見て『キモい』と思うのか?」
夏目君は淡々と話を続ける。別に興奮をするわけでも、みんなに言い聞かせるわけでもなく「何かおかしい事でも言っているか?」と言わんばかりに、普通のトーンでマイペースに話す。そんな夏目君を前に、クラスメイト達は静まり返った。しばらくして、クラスメイトの一人が恥ずかしそうに話し始める。
「……じ……実は俺も……少しだけ可愛いと思ったんだよね……。」
それを皮切りに、何人かのクラスメイト達が暴露を始める。
「……お……俺も……可愛いと思った……。でも……クラスメイトだし……変な奴だと思われたくなかったから……。」
「……俺も……。」
何だか気まずい雰囲気になったところで、タイミングよくチャイムが鳴り全員席に着いた。
その日の放課後、僕は夏目君を呼び出した。場所は旧校舎の空き教室――部活でも授業でも使われていないため、他の人達に見つからない場所だ。彼は迷ったのか、少し遅れて到着した。
「何のようだい? 俺は男には興味はないぞ。」
「そういう事じゃなくて……。その……今日の休み時間の事、お礼を言いたくて。」
「別に俺は、エッチなコスプレイヤーがこの世から一人いなくなったら嫌だと思っただけだ。それに俺はあのキャラクターが好きなんだ。」
彼はスマホを取り出しスワイプしてから画面を僕に見せた。人気スマホゲームのホーム画面が表示されており、そのホーム画面の中央には僕がコスプレをしたキャラクターが映し出されている。彼は本当にこのキャラが好きだったのだろう。
「それに、好きでやっている事を馬鹿にされるのは、見ていて気分が良くないからな。」
彼は僕から顔を逸らせてボソッと呟いた。彼の顔を覗き込むと、茹でダコのように顔が真っ赤になっている。僕は初めて夏目優斗の顔をしっかりと見た気がした。僕は彼の顔を覗き込んで無理やり目を合わせ囁く。
「ねえ、さっき僕のコスを見て『抜ける』『エロい』って言っていたよね。あれホント? 本当に僕の事を見て興奮したの?」
僕は顔をそらす彼の目を追って覗き込む。しかし、彼は少しふてくされたような表情を浮かべながら口を一文字に紡いでいた。
「本当の事を言ってよ。場合によっては生のコスを見せてあげるからさ。」
彼は顔を逸らしたまま目だけをこちらに向けて、観念したように呟く。
「……可愛かったよ……興奮した……。ゲームから飛び出してきたかのような出来だった。」
この時、僕はどのような表情をしていたのだろう……嬉しいような気恥ずかしいような……同性にこんな事を言われて、心を動かすなんて初めてだ。僕は思わず彼の手を取る。
「ねぇ優斗君、僕と友だちになってよ。」
コメント
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うわあ、第32話、めっちゃ良かったです……! 夏目くんの「男なのに抜ける」発言、あれ完全に空気ぶった斬ってて笑ったけど、その後のクラスメイトたちの「実は俺も…」の流れがリアルでじわじわ来ました。彼がただの変わり者じゃなくて、ちゃんと作品の良さを評価してるのも熱い。最後の博巳くんの「友だちになってよ」が、すごく切実で可愛くて胸が締め付けられました。この2人の関係、この先どう転ぶのか気になりすぎます!