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#普通
野々さくら
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ありあ
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龍河は信愛と銚子、2人からの熱視線を浴びながら考え込む。
確かに、霊貴冥孤と一切面識の無い龍河が、面会を許可してもらうためには、怪異探求倶楽部の功績を利用するのが一番手っ取り早い。
それに、面会の際に霊貴冥孤に嘘をつかれ、それキッカケにガセネタを掴まされたりしてしまったら、それこそ苦労して面会までこじつけた意味がなくなる。
しかし、千里眼を使える銚子が同行するのならば、それを回避する事ができる。
龍河は頭捻って断る理由を探そうとしてたが、理由が見つからなかった。
それどころか、二人を面会に同行させたことによるメリットの方が明らかに大きかった。
「うー・・ん、断る理由が見つからねーな・・」
龍河の言葉に信愛は目を輝かせる。
「え?なら──」
龍河はしばらく考え込んだ末、小さく息を吐いた。
「仕方ない・・・」
諦めたように肩をすくめる。
「一緒に来てもらおうか・・・」
その一言に、銚子は安堵したように微笑み、深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
続いて多摩雄も申し訳なさそうに頭を下げる。
「すいませんね、馬場さん・・・
無理やり押し切る形になってしまって」
龍河は首を横に振った。
「いえ、謝らないでください」
穏やかな表情で続ける。
「二人に同行してもらうのが
現時点では最善だと判断したまでです」
茜が手を挙げながら尋ねた。
「でも、馬場さんに信愛、それからお母さん
三人で面会って行けるもんなんですか?」
龍河は頷く。
「拘置所の面会人数は被疑者一人につき大体三人まで
って相場が決まってるからな、行けるはずだよ」
「へぇ、そうなんだ」
茜は納得したように頷いた。
すると銚子が真剣な面持ちで口を開く。
「でしたら、できるだけ早い方がいいですよね
裁判所から接見禁止が出る可能性もありますし」
「そうですね・・・」
龍河は静かに頷き、スマホを取り出した。
「一応、知り合いの刑事に打診してみます」
そういうと龍河は立ち上がり、玄関先に向かっていく。
どうやら、刑事に電話をかけるようだ。
◇ ◇ ◇
龍河が刑事に面会の打診をしている間、リビングには重苦しい空気が立ち込めていた。
「馬場さん・・大丈夫かな?」
信愛は玄関へと通ずるドアを、不安な眼差しで見つめる。
「面会・・認めてもらえればいいね」
「まぁ、簡単には許可は下りないだろうな・・」
茜の言葉に忍が答えた。
「ウチらの功績があってもですか?」
さくらは忍に疑問を投げかける。
「拘置所での面会は自由裁量じゃないんだよ」
忍は今回の霊貴冥孤への面会打診の難易度の高さを解説する。
拘置所での面会は自由裁量ではない。
単に言えば申請すれば誰でも許可されるものではないという事だ。
したがって「面会したいです」「はいどうぞ」とは、身内や弁護人などでもない限り簡単にはいかない。
それは面会をしたいと言ってくる人物が、被疑者と裏で繋がっている共犯者という可能性もある為だ。
しかし、怪異探求倶楽部の活躍によって霊貴冥孤の逮捕に至ったという功績があれば、疑われる可能性は低い為、交渉の余地はある。
だが拘置所という場所は、それだけで簡単に面会ができる場所では無い。
霊貴冥孤という詐欺師が幹部を務めていた天縁教団が企てた信愛の誘拐。
さらに天縁教団は過去に、メディアを意のままに操り銚子に「インチキ霊媒師」の烙印を押し追放した。
この一連の騒動の真相を霊貴冥孤が握っていると判断されれば、面会は認めてもらえるはずだ。
要は、一見無関係に見える事件が、実はすべて一本の線でつながった事件。
そして霊貴冥孤や天縁教団の目的へと繋がっている、そう警察側に判断してもらう必要があるという事だ。
「全ては馬場の交渉術にかかってるって事だ」
忍は最後にそう締め括った。
「なんか話聞いたらだんだん不安になってきた」
茜は手を合わせながら祈るようにドアを見つめる。
「まぁ、信じるしか無いよ・・」
信愛は期待と不安を抱きながら龍河が戻ってくるのを待つ。
◇ ◇ ◇
龍河が電話を終えて戻ってくると、部屋にいた全員が固唾を呑んで彼を見つめた。
誰も口を開かない。
結果を聞くのが怖いのだ。
最初に勇気を振り絞ったのは信愛だった。
「ど、どうでした?」
龍河は苦笑しながら肩をすくめる。
「最初は断られたよ」
その言葉だけで、信愛の表情は曇る。
龍河は続けた。
「関係者でもない俺たちを無闇に
被疑者へ近づけるわけにはいかないってな」
「そう・・・ですか」
信愛は肩を落とし、視線を床へ向けた。
その落胆ぶりを見た龍河は、小さく笑う。
「そんな顔するな」
そして意味ありげに付け加えた。
「言っただろ?『最初は』って」
焔垂が身を乗り出す。
「え?ってことは?」
龍河は口元を緩めた。
「条件付きで認めてもらえたよ」
部屋の空気が一変する。
「やっぱり君らの功績がデカかった」
銚子が首を傾げた。
「条件って?」
「通常の面会じゃなく――」
龍河は指を一本立てる。
「『捜査協力』という名目の面会って形で
何とか折り合いをつけてもらいました」
「捜査協力?」
焔垂が聞き返す。
「要するに──」
龍河は淡々と条件を説明し始める。
「『無駄話はするな』
『事件に関連する話だけしろ』
『それなら認めてやる』
そういう条件だよ」
全員が神妙な面持ちで耳を傾ける。
「なるほど・・・」
信愛は静かに頷いた。
「面会は来週の土曜日に決まった」
龍河はさらに続ける。
「時間は30分で、刑事の立ち会いは必須
更に、俺たちが事件と関係ない
話をした瞬間その場で面会は打ち切り」
その条件に皆の顔が強張っていく。
「最後に、この面会の内容を
外部の人間へ口外しないこと
この条件でギリギリ認めてもらえた」
焔垂は腕を組み、小さく息を漏らした。
「一言でもミスった瞬間終わりか・・」
「かなり厳しいね」
茜も苦笑する。
さくらは真剣な表情で言った。
「だったら、あらかじめ何を
聞くか決めてから行かなきゃ」
「なら作戦会議しなきゃね」
信愛もすぐに賛同する。
「ああ」
龍河は力強く頷いた。
「今回は質問の順番も重要になってくる
刑事が聞いていても、事件に関係する会話だと
思わせられるように話を組み立てないといけない」
朝陽は納得したように呟く。
「話す内容だけじゃなく順番も大事なんですね」
「かなり厳しいけど・・やるしかないよな」
焔垂の言葉に、龍河は不敵な笑みを浮かべた。
「まあ、そんなに気負わなくていい
限られた時間で情報を引き出すのは
俺たち雑誌記者の得意分野だからな」
その言葉に、忍は腕を組みながら満足そうに笑った。
「そうだな」
すると銚子は深々と頭を下げる。
「条件付きでも、霊貴冥孤と
面会できるだけで十分です
ありがとうございます」
その感謝の言葉に、龍河は静かに頷いた。
「礼まだ早いですよ
本番は来週の土曜日なんですから」
その一言で、部屋の空気は再び引き締まった。
30分。その限られた時間が、事件の真相へ迫る唯一の鍵になるのだから。
コメント
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「お疲れさまです、×××さん…🥀」 今回、龍河が信愛と銚子の同行を承諾するまでの葛藤と、条件付きで面会が通ったときの空気の変化、すごく丁寧に描かれてて好きでした。 特に「最初は断られたよ」からの「『最初は』って」の緩急、胸がぎゅっとなりました。 30分・刑事立ち会い・事件関係のみ…あの重い条件の中で、彼らがどう核心に迫るのか、次の話が待ち遠しいです。 言葉の順番一つで打ち切りになる緊張感、雑誌記者のプロ意識も光ってました。次回も静かに読ませてください🌙