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『響野くんの伴奏をしていると、すごく楽しいのよね』
『俺も、島野さんと一緒に演奏してると楽しい。俺たち、フィーリングが合うのかもしれないな』
演奏者と伴奏者として出会った侑とレナは、一気に距離が近付き、二人は恋人同士となり、侑がコンクールに出場する時、ピアノの伴奏はレナが担当していた。
レナを伴奏者として付けてから、侑は様々な国際コンクールで最優秀賞を獲得する事も増え、最優秀賞を取らなくとも、エントリーしたコンクールやコンテストは、三位以内に入賞するまでになった。
ドイツ留学時代の師匠が言っていた『もっと自分の音楽の良さを見つめた方が、キミは伸びるよ』の言葉通りとなったと言えるだろう。
毎日のように一緒にいる侑とレナは男女の関係となり、互いに初めての相手でもあった二人の関係も、ますます良好なものになっていく。
更に侑が驚いたのは、遠く離れた日本から侑の活躍を知った吹奏楽専門誌『バンドファン』の編集部からメールが届き、雑誌の名物コーナーのひとつ、『ワンポイントクリニック』のコーナーで、読者に向けて、演奏に関するアドバイスを一年間執筆してもらえないか、という依頼があった事だ。
『自分の持っているものが、トランペットを愛好する人々の役に立てるのなら』という思いで、侑は執筆を担当する事に。
『ワンポイントクリニック』は、各パートの執筆者の顔写真も掲載される。
この頃から、侑はイケメントランペット奏者として知られる事になり、『バンドファン』の売り上げも、彼が執筆していた一年間は創刊以来、爆発的な売り上げを記録したという。
また、留学中にCDデビューも果たし、数枚のアルバムを制作。
クラッシックだけにとどまらず、様々な音楽ジャンルを華麗な音色で演奏し、彼の容姿も相まって、クラッシックのジャンルでは異例の売り上げとなり、アルバムは日本でも発売され、販売された数枚のうち二枚はミリオンセラーとなった。
二年間の留学を終えた侑は、東新宿の自宅で一人暮らしを始めた。
オーケストラでの演奏も経験したいと考え、JHK交響楽団のオーディションを受け、見事に合格。
楽団史上最年少入団の看板を引っ提げてJ響入りし、恋人の島野レナはそのままドイツに残り、遠距離恋愛となってしまったが、彼女とは侑が日本に帰国してからも、定期的にメールをしたり国際電話で電話したり、愛を育んでいる、と彼は思っていた。