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「時雨くんは何を願った?」

「何も願ってない。流れ星に願うとかバカらしいし。」

確かに今までは流れ星に願うなんてバカらしいと思っていた。

けど今は違う。

願うだけで少しでも、ほんの少しでも、

彼女が長生きできるというなら

願ってみたかったんだ。

「えぇ、なにそれ。ひど…」

彼女は眉毛を寄せて、引いた顔をしている。

「願ってないならいいや。ねぇ、明日は遊園地に行くよ」

遊園地と聞いて驚いたが、素早く返事を返した。

「いや、行かないよ。明日も学校があるんだからね?」

「あれ?やりたいことリスト叶えてくれるんじゃなかったっけ?

遊園地に行きたいのになぁ〜?」

学校に行かないと親に叱られるだろう。

けど、先に言い出したのは僕だ。

それに、彼女の願いは叶えてあげたかった。

「仕方ないな…。その代わり、今日みたいに夜遅くまでは遊ばないからな?」

「はーい!やったぁー!

じゃあ明日、遊園地に8時集合ね!」

「少し早いけどわかったよ。それじゃ、もう帰るから。また明日」

彼女は笑顔でこちらに手を振っている。

その笑顔は一等星のように輝いて、眩しく見えた。

翌日、母には学校に行くと思わせ、

彼女よりも早めに遊園地に行き、遊園地のトイレで私服に着替えた。

遊園地の入口で彼女を待つ。

だが、彼女は待ち合わせの時間になっても来なかった。

少し遅刻しただけだろうと思い、彼女の分の飲み物を買いに売店に行き、入口に戻ってきたが彼女はそれでもまだ来てなかった。

待って、待ち続けた。

気づけば時計は12時を指していた。

もう昼だ。お腹も鳴っている。

さすがに帰ろうと思い、帰ろうとした瞬間、

ポニーテールがボサボサになり寝癖のような髪の毛の状態の少女が僕の目の前に現れた。

「ごめ…ん、遅れた…っ…」

少女は走って来たのだろう。

言葉もまもならないほど、息切れをしていた。

「遅い。どれだけ待ったと思ってんだよ」

「ごめんって…お母さんがだめって言って…家から出させてくれなかったの…!」

「へぇ、なんで?」

「お母さん過保護だから…!それに私の顔色が悪いからって言って…はぁ、はぁ…」

確かに少女の顔色は悪かった。

朝からなのだとすれば、病気のせいで顔色が悪いのだろうか。

まさか病気が進行しているのでは…

それなら早く帰らなければ…。

「ねぇ、今日は帰ろう。」

「え、どうして?

私のことなら気にしないでよ!

ほら、行こー!」

少女は僕の手を掴み、奥へと向かう。

彼女が倒れるのではないかと心配したが、

彼女はいつもの通りの明るさで輝いていた。

何回も乗り物に乗ったり、食べ物を食べたり。

何する時も彼女は明るかった。

「ねぇ、喉乾いてこない?

あっちに自販機あるから何か買ってくるね!」

笑顔でスキップをしながら自販機に向かっている。

だが、顔色の悪さは最初よりも悪くなっていた。

彼女は右手に缶、左手にはペットボトルを持っていた。

スキップをしながらこちらに向かってくる彼女。

──ドンッ──

急な音に目を丸くした。

彼女は倒れていた。

転けたのだろうと思い、彼女に近づき手を貸す。

「もう、何やってんの。ほら、大丈夫?」

だが、彼女から返事はなかった。

すぐにわかった。

彼女は転けたのではなく、倒れたのだと。

「待って…待てよ…119だよな…」

その場で救急車を呼ぶ。

救急車は数分でたどり着いた。

救急車に僕も乗り、救急車の中で連絡先を聞かれた為、病院についた頃には母と少女の母親も居た。

母にはこっぴどく叱られた。

そして、少女の母親にも。

母は、

〃どうして学校に行ってないの!?〃

〃人様に迷惑かけて、馬鹿じゃないの!〃

と。

少女の母親には、

〃どうしてこの子があんたの為なんかに!〃

〃これで死んだらどうするの!〃

〃あなたのせいで…!〃

と。

僕は違う。

間違えてなど、いない。

神に誓ってでも、言える。

僕は、少女のやりたいことリストを叶えたいだけ。

誰かに理解されようとも思っていない。

僕は少女を助けたかった。

本当に、それだけ…。

「何か言いなさい!人様に迷惑かけ──!」

「間違ってない!人助けをしたんだ!

遊園地に行ったのも、彼女の希望だ!

迷惑かけてるのは君達の方だろう!?

君達は、彼女を捨てた!」

きっぱりと言い放った。

久しぶりに叫んだせいか、声が花のように枯れた。

昔、あの時も同じように叫んだような気がする。

だけど、その〃あの時〃がわからない。

母親達はお互いに目を合わせ、不思議な顔をしている。

すると、奥で物音がした。

例えるなら小物を置いた音だろう。

母親達、僕で病室のドアを開ける。

そこには綺麗な一等星のように輝いた彼女がノートを開き、何か書いているようだった。

彼女の近くに寄り、ノートを見ようとすると

耳を引っ張られた。

耳元で静かに呟かれた。

「私を捨てないのは時雨くんだけだよ」

と。

そして、ノートに書かれていた言葉は

『 時雨くんと離れたくない 』

だった。

彼女は様子見ということになり、

1日入院となった。

僕と母親は家に帰った。

母親は家に帰るなり、変なことを言い出した。

「あの子の名前、なんて言うの? 」

なぜ急に名前を聞いてくるのか

理解ができなかった。

「あの子って、彼女のこと?」

「そう。」

「彼女の名前は僕も知らないよ。

名前を教えてくれないんだ。」

少し沈黙が流れ、母は答え出した。

「そう、なのね。

あの子と関わるのは辞めて。

たぶんあの子、あなたにとって悪いから」

意味がわからない。

急に何を言い出すんだ。

〃あなたにとって悪い〃

とはどういうことだ。

何も理解できない。

「辞めない。

もし僕にとって悪くても、

僕は悪いと思わない。

僕は彼女を捨てない。

君達みたいにな。」

明星が朽ちるまでの余命3ヶ月

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