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練習後。


ヘロヘロになりながらも、俺は話の続きがしたくて阿部ちゃんを誘ってサウナに出掛けた。

ラウールはちょうど雑誌の撮影、めめ はCM撮り。二人に羨ましがられながらも、久しぶりにゆっくり汗を流して、じっくり整うことができた。


サウナ着で寛いでいると、阿部ちゃんの鎖骨のあたりに愛された証がほんのり残っていて、思わず声が出た。


💙「めめに愛されてるんだね」


古い失恋の記憶が胸の底に疼いたけど、それはもう昔の話だ。阿部ちゃんもめめも知らないし、知らなくてもいい話だ。

阿部ちゃんは恥ずかしそうに、それでも嬉しそうに赤い跡を触った。


💚「もう。恥ずかしいからやめろって言ってるのに」


💙「……なんにせよ、仲良いのはいいことだよ」


照れて悪態をついたり、想いと反対のことを口走ったりなんて絶対にしない、聡明で控えめな阿部ちゃんは、俺から見ても可愛らしい恋人だった。

阿部ちゃんは昼間の話の続きをしようか、と、優しい目で俺を見た。聖母のような穏やかな顔をしていた。


💚「翔太は?ラウールとうまくいってないの?」


💙「うまくいってるとは…思う」


💚「よかった。でも、何かあるんだね?」


めめと阿部ちゃんが付き合うようになってから、阿部ちゃんとこうして話すことが増えた気がする。阿部ちゃんとはめめよりもともと付き合いが長いし、立場が同じだからか、恋愛についてはよく話すようになった。

俺は、阿部ちゃんに正直に悩みを打ち明けた。

💚「翔太、大変だったね」


一番聞きたかった言葉を掛けてもらい、不覚にも泣きそうになってしまった。というか、泣いた。阿部ちゃんは俺のことは何も言わずに、優しく頭を撫でてくれた。


💚「めめもね、止まらない時あるよ」


💙「えっ…めめが?」


💚「めめって、いつもは優しいのに、ストレスが溜まると結構、強引なんだよね。2回くらいは俺も怪我したし…」


💙「それは…酷いね」


普段温厚なめめからはまったく想像ができなかったが、阿部ちゃんがそう言うなら本当の話なんだろう。


💚「した後で血が止まらなくなった時は、さすがにめめも青い顔して、泣いて謝ってた」


阿部ちゃんはなんてことないみたいに話すけど、自分ごととして話を聞いていると、それはとんでもない苦痛に違いなく、順調に付き合っているように見えた二人の、凄みのようなものを感じた。


💙「俺、甘かったわ」


💚「いや、そんなことないって。ラウールと話し合って、なんとかいい方に折り合いがつくといいね」


💙「うん…」



その夜は二人でサウナ上がりに焼肉を食べて、お互いの彼氏の悪口を言いたいだけ言って別れた。

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