『 最期の大好き。』
青side
青 「あっつ~、」
いくら海岸に来たと言えども暑いは暑い。
太陽の光を反射して、キラキラと輝き、透き通っている海水。
こんな綺麗な海最期ぐらいは…
青 「さとみ君と見たかったなぁ…ッ、笑」 ポロ ッ
─2ヶ月前─
医者 「…病気の進行が早まってきてます、」
青 「え…ッ、?」
医者 「もっても…2ヶ月程の命でしょう。」
青 「そん、な…」
医者 「ですが、入院をすると半年はもちます。」
「どうされますか?」
青 「…入院、しません」
医者 「…分かりました。」
「また何か体調に異変があればすぐに来てくださいね、」 ニ コ ッ 、
青 「はい…」
青 「ただいま…ッ、」
しんと静まり返った家にぽつりと呟く。
涙を流しながら。
僕の彼氏のさとみ君は出張が多々。
家に帰ってくることは滅多に無い。
寂しからビデオ通話を週に3回以上はする。
連絡はもちろん毎日とる。
けど…やっぱり寂しいな、
ちなみに病気のことはさとみ君には言っていない。
さとみ君に迷惑かけたくないから。
さとみ君のことだから、僕が治ることの無い病気だと知ったら、
出張に行かなくなると思うんだよね。笑
だから、この病気のことは僕が死ぬまで絶対言わない。
この病気のことを知ってるのは、僕と、僕のお兄ちゃんのるぅと君。
るぅと君にはすぐばれた。
ばれたのは僕が治らない病気があるって発覚した次の日ぐらいだったかな?
この時はまださとみ君とは付き合ってなかったんだよね。
─1年前─
青 「ただいま…、」
黄 「おかえり~」
青 「今日の夜ご飯何~、?」
黄 「ころちゃんが大好きなカレーだよ~!!」
青 「おお!」
黄 「…何かあった?」
青 「え…?」
黄 「いつもなら、ほら、やったー!とかでしょ?」
青 「っ…」ポロ ッ
黄 「…リビング行こっか、」ニ コ ッ 、
青 「…ぐすっ、」ポロ ッ
…って感じでお兄ちゃんにはばれた。
お兄ちゃんはそれからずっと僕に寄り添ってくれて、
お兄ちゃんって偉大だなって改めて思った。
もちろんさとみ君も偉大だよ?笑
出張中でも僕に電話で構ってくれるし、
どんなに忙しくても、メッセージは絶対返してくれる。
世界一かっこいい彼氏。
青 「はぁっ…」ポロ ッ
「海行くかぁ…!」
青 「お月さま、僕のお願い…叶うかなぁ…?笑」
眩い光でオーラを放っているお月様に問いかける。
辺りを見回すと薄暗く、少し不気味だ。
こんな夜でもさとみ君が隣に居てくれたら怖くないんだろなって考えが脳内を過ぎる。
青 「…はぁっ、笑」
「何考えてんだか…ッ、」ポロ ッ 、
さっき言ってた『お願い』は、絶対叶わないお願いなんだけどね、笑
最期ぐらいは無茶言ってもいいよね…笑
青 「…」プル ル ル ル ッ 、
僕からかける最期の電話。
応答してくれなかったらどうしよ、笑
桃 「…もしもし?」
「どうしたの、こんな遅い時間に、笑」
出てくれた…良かった、笑
青 「ごめんね、笑」
桃 「今日あれじゃん、ビデオじゃないじゃん」
青 「今日ビジュ悪すぎるんだって、w」ポロ ッ 、
さとみ君の声を聞くと泣く気がしたから、ビデオはやめたなんて絶対に言えない、笑
ビデオにしなくてよかったぁ…
案の定序盤で泣いちゃった、笑
桃 「何だよそれ、笑」
「絶対ビジュ悪くないって、w」
「ころんはいつでもかわいいよっ、」ニ コ ッ 、
青 「…くふっ、笑」
「何それ、笑」ポロ ッ 、
「さとみ君はいつでもかっこいいっ、!笑」
桃 「ふはっ、ありがとな、笑」
「早く出張終わんねーかなー、w」
「あと2日もあるんだよな〜、」
青 「…2日、か…ッ、」ポロ ッ 、
桃 「早くころんに会いたいよ、笑」
青 「…あのさ、今日、会えないよね…?」
桃 「…今日、?笑」
「今日はさすがになぁ…笑」
「今から急いで帰ったとしても明日にはなりそう、かな…笑」
青 「…そうだよね…ッ、笑」
「ごめんね、無茶言って、笑」ポロ ポロ ッ
さとみ君にはいつも通り『明日』が来る。
当たり前のように日を越す。
そして当たり前のように、『2日後』だって来るだろう。
でもその『明日』とか『2日後』は、僕にはもう…来ない。
それががちょっぴり悲しくて、切なくて、辛くて、怖くて、不思議で、
色々な感情が一瞬でごちゃ混ぜになる。
頭がパンクしそうなぐらいに。
…こんな現実が受け止め切れない僕が居る。
桃 「んーん、俺の方こそごめんな、出張多くて、」
「てかさ、さっきから鼻しゅんしゅん言ってるけど大丈夫か?」
「風邪ひいてない?」
青 「引いてないよっ…笑」ポロ ッ 、
「…そろそろ切るね、」
桃 「ん、分かった、」
青 「お仕事頑張ってね…!!」ニ コ ッ 、
桃 「ありがとなっ、笑」
「今日からころんの頑張れ毎日欲しいな〜、w」
「めっちゃやる気出る、笑」
青 「そう?笑」ポロ ッ 、
「さとみ君…ッ、」
桃 「んー?」
青 「…大好き…ッッ、!」ポロ ポロ ッ
「おやすみ、」ポロ ポロ ッ
桃 「ぇ、ぁ…ころッ、」
青 「っ…」プチ ッ ッ 、
「…ぅ”ぁ”ッ…、」ポロ ポロ ッ
最期にさとみ君に抱きしめて貰いたかったなぁ…笑
さとみ君が今、この場に居たらすぐ駆け寄ってきて、大きい体でぎゅってしてくれるんだろなぁ…笑
…毎日お仕事頑張れって言えなくてごめんね、
来年の誕生日一緒に祝ってあげられなくてごめんね、
ずっと一緒だよって言ったのは僕の方なのに、
その約束守れなくてごめんね、
ずっとずっとずっと大好きだよ。
青 「けほっ、けほッ…」ポロ ポロ ッ
「あーあっ、」ポロ ポロ ッ
この海実はさとみ君に告白された場所なんだよね、
だから死ぬならここがいいなって思って、笑
病院で死ぬのってなんか嫌だ、笑
さとみ君との思い出の写真を遡りながら、
大切な日々を思い出しながら、
僕は一生の眠りについた。
─2日後─
桃side
桃 「ただいま〜、」
「ころん…?」
しんと静まり返った家。
どこを探してもころんが居ない。
いつも一緒に寝てるベッドにも、
一緒に入るお風呂にも、
一緒にゲームをする俺の部屋にも、
くだらない話をして笑い合うリビングにも。
桃 「…手紙、?」
『今日僕の兄が突撃しに来ると思うからよろしく』
桃 「…は、?」
ころんの兄?居るという話は聞いてたけど、何でころんの兄が俺のところに…?
桃 「もしかして…ッ」
こんなこと考えたくない、
考えたくないけど…
2日前にかかってきた電話。
いつもなら、ビデオにするはずだ。
ころんはビジュが悪いとか言ってたけど、
本当は…
桃 「…泣いてた、?」
しゅんしゅん言ってたし、
急に最後に大好きって言ってきたし、
考えられる可能性は、
俺に冷めたとかか…ッ、?
でもだとしたら通話の最後の発言と矛盾してるんだよな、
他に考えられる可能性…
桃 「分かんねぇよ、ころん…ッッ、」
黄 「…」ピンポーン ッ 、
桃 「あ、はーい、!」ガチ ャ ッ
黄 「あ、こんにちは、」ペコ ッ 、
桃 「こんにちは〜、、」
「ころんのお兄さんですよね、?」
黄 「そうです、」ニ コ 、
桃 「どうぞ、中入ってください」
黄 「お邪魔しますっ、」
桃 「あの、ころんって…」
黄 「…実はッ、」
「実は、ころちゃんはもうこの世に居ないんです、」ポロ ッ 、
桃 「え…ッ、?」
「どういうことですか…?」
黄 「2日前に亡くなりました、病気で…ッ、」
桃 「は…?」ポロ ポロ ッ
ころんはもうこの世にいない?
病気で死んだ?
全く状況が掴めない、
2日前って俺に電話してきた日…
今日会えないかなとか最後に大好きって言ってきた理由って…
桃 「…死ぬからだったってこと、か、?」ポロ ポロ ッ
黄 「…ころちゃんは治らない病気でした、」
「入院をしたら、あと半年持ったんですけど、」
「入院はしなかったんです、」
「僕は入院を勧めたんですけどね、でも、」
「さとみ君と死ぬまで一緒に家で暮らしたい、って言って、笑」
「それで僕が、その病気のこと彼氏さんには言わないの?って聞いたら、」
「迷惑かけたくないし、最期まで笑っていたいから…って言ってました、笑」
「なんかころちゃんらしいですよね、笑」ポロ ッ
桃 「ッ…」ポロ ポロ ッ
黄 「突然のことでびっくりさせちゃいましたよね、すみませんッ、」
桃 「いや…ッ、」ポロ ポロ ッ
黄 「これ…ころちゃんから手紙です、」
桃 「ぁ…ありがと、ございます…ッ、」ポロ ポロ ッ
黄 「じゃあ、そろそろ…」
「今日はこれで失礼しますね、」
「最後にころちゃんから伝言です、僕が死んだらさとみ君に伝えてって…」
「さとみ君の机の引き出し見てみて、僕とお揃いのもの入ってるから、」
「では…ッ、」ペコ ッ 、
桃 「ぁ、はい…ッ、」ペコ ッ 、
桃 「…ぐすッ、」ポロ ポロ ッ
あの日、もし俺が出張に行かずに家に居たら、
何か変わっていたかもしれない…
俺がころんの異変に気づけなかったから、
桃 「ころん…ッ、」ポロ ポロ ッ
桃 「引き出し…」ガサ ゴソ 、
「何だ…これ?」
引き出しの中には1つの小さな箱が入っていた。
桃 「…」パカ ッ 、
「っ…?!」ポロ ポロ ッ
箱の中身には…
指輪と手紙が入っていた。
桃 「…お揃いって、」ポロ ポロ ッ
「馬鹿がよッッ…笑」ポロ ポロ ッ
「…」ス チ ャ ッ 、
「はぁっ…」ポロ ポロ ッ
「葬式の準備…すっか、」
手紙はあとで見よ、
手紙なんか見たらもっと泣くに決まってるから、
ころんとの思い出に浸ってしまうから。
寂しくなってしまうから。
青 「…さとみ君っ、お揃いだねっ、」ポロ ポロ ッ
「気づいてるかな?笑」
「僕達が付き合った日のイニシャル指輪に書いてるんだよッ、笑」ポロ ポロ ッ
S ♡ 2023/1.24 ♡ C
やっぱノベルって難しい…(
コメント
19件
はあっ 泣けます🥹🥹 私感動系とか絶対泣かないんですけど🥲 今目がうるうるしてます🥹🥹 これが神作か… フォロー失礼しますっ
天才かよ ノベルむずいのにがちで上手すぎ 泣くよ?!( そしてストーリー神 1.24は妹の誕生日です(( やばい語彙力ないって泣