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#雪男BL
透子
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yuka🌃🪽💎
236
病室には消毒液の匂いが漂っていた。
💜「……は?」
深澤辰哉は、目の前に座る兄の顔を見つめた。
ベッドの上には点滴。
右足にはギプス。
事故だった。
命に別状はなかったものの、退院までは最低一か月。
兄は困ったように笑う。
「頼む、辰哉」
💜「いやいやいや」
💜「無理無理」
💜「何言ってんの」
兄は頭を掻く。
「来週、両家の顔合わせなんだ」
💜「延期すればいいじゃん」
「できない」
「向こうのお父さん、海外赴任が決まってて、この日しか集まれない」
💜「だからって俺?」
「俺たち双子だろ」
💜「そういう問題じゃない!」
兄はベッドの上で申し訳なさそうに目を伏せる。
「婚約者にはまだ事故のこと話してない」
💜「なんで!」
「心配させたくなかった」
💜「余計ダメでしょ!」
病室に沈黙が流れる。
兄は少しだけ真面目な顔になった。
「頼む」
「顔合わせだけ」
「その後はちゃんと俺が話す」
💜「……」
辰哉は大きくため息をつく。
断るつもりだった。
なのに。
兄は昔から、自分が困っている時は必ず助けてくれた。
今度は自分の番なのかもしれない。
💜「一回だけ」
兄が顔を上げる。
💜「本当に一回だけだから」
「ありがとう!」
💜「勘違いするなよ」
💜「バレたら終わりだからな」
兄は安心したように笑った。
「大丈夫」
💜「その自信どこから来るんだよ……」
────────
三日後。
辰哉は兄の部屋にいた。
机の上にはアルバム。
スマホ。
手帳。
兄が婚約者との写真を一枚一枚説明していく。
「この人が照」
写真の中で笑っている男性。
短い黒髪。
落ち着いた雰囲気。
優しそうな笑顔。
💜「……イケメンじゃん」
「そこ?」
💜「いや、普通に」
兄は笑う。
「照は優しいよ」
「でも勘が鋭い」
💜「それ一番嫌な情報」
「コーヒーはブラック」
「甘いものが大好き」
「辛いものは苦手」
💜「俺が覚えること?」
「お前じゃなくて照のこと」
💜「多すぎ!」
兄は写真を一枚取り出した。
そこには照と肩を並べて笑う兄がいた。
「照は、人の表情をよく見てる」
「だから」
「無理に恋人らしくしなくていい」
「いつも通りでいろ」
💜「いつも通り?」
「うん」
「それが一番バレない」
辰哉は写真を見つめた。
(……優しそうな人)
でも。
だからこそ騙すことへの罪悪感が大きくなる。
────────
顔合わせ当日。
スーツ姿の辰哉は、何度も鏡を見ていた。
💜「やばい……」
💜「今さら逃げたい」
兄は笑う。
「いけるいける」
💜「その適当さ嫌い」
病院を出る直前。
兄は辰哉を呼び止めた。
「一つだけ」
💜「ん?」
「照を傷付けるようなことだけはするな」
辰哉は少し驚いた。
💜「……分かってる」
「よろしく」
辰哉は小さく頷き、病院を後にした。
────────
待ち合わせ場所はホテルのラウンジ。
まだ約束の十分前。
辰哉は深呼吸を繰り返す。
💜「落ち着け……」
その時。
「お待たせしました」
低く落ち着いた声が聞こえた。
辰哉はゆっくり振り返る。
そこには、一人の男性が立っていた。
写真で見たままの人。
いや。
実物の方がずっと格好よかった。
💛「待った?」
その優しい笑顔を見た瞬間。
辰哉の心臓は、大きく音を立てた。
(……まずい)
(こんな人、騙せる気がしない)
その時はまだ。
辰哉は知らなかった。
この一週間だけの嘘が、自分の人生を大きく変えることになるなんて。
コメント
4件

わー💛💜💛💜 またまた楽しみができました✨
ドキドキワクワクの設定だわ! 楽しみ💛💜
うわあ、めちゃくちゃ面白かったです! 双子の身代わり顔合わせ、しかも相手が写真以上にかっこよくて心臓バクバク…って展開、一気に持っていかれました。 特に「照を傷つけるな」ってお兄さんの一言が重くて、そこからのラウンジでの対面シーン、静かな緊張感が伝わってきて続きが気になりすぎます! 辰哉くんがこの嘘の先でどう変わっていくのか、すごく楽しみです✨