コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
百合に近づく策略から始まった恋が新たな展開を見せていた
定正は鈴子と密会するために大阪の一等地、梅田の最先端タワービルの住居棟の3LDKマンションを一室購入した、そして彼は鈴子に鍵を渡して言った
「まだ、ただの箱なんだ・・・ここを私と君がゆっくり過ごせるような空間に作り上げてくれないか?インテリアデザイナーと何を買って、どこに配置するか決めて欲しい、良いかな?」
「承知しました」
鈴子は事務的に答えたが、内心は飛び上がって喜びたいほどだった、寝ずに二人の愛の巣のインテリアを考えた、ここを私が整えて彼が帰ってきてくれるんだ、やがていつでも彼を迎え入れられるように鈴子は定正のマンションに引っ越した
さらに定正は秘密のiPhoneを購入した、その番号を知っているのは鈴子だけだった、鈴子もまた定正から同機種のiPhoneを持たされた、定正専用のスマホを鈴子は肌身離さず持ち歩いた、一日に何度もLINEのメッセージをやりとりしたり、夜、寂しくなると電話をかけ合う二人になった、ただし、土・日だけは別だった、特に定正には何も言われていないが、鈴子が遠慮したのだ
少しでも時間にゆとりができると、二人は定正のマンションで落ち合った、彼との密会がこれほど待ち遠しくて、楽しいものだとは今まで知らなかった、もう定正なしの人生は考えられなかった
鈴子は一人になった時に、このことについて落ち着いて考えてみた、定正は自分に何でも話してくれるが、百合の事だけは決して口にしない、鈴子も暗黙の了解で二人の間で彼の妻の百合の話題は絶対に出さなかった
定正が十回目に鈴子のいるマンションを訪れた時、鈴子が言った
「あなたにプレゼントがあるの」
寝室を開けると6個ほどの包装された箱を定正に渡した、彼はクスクス笑った
「おいおい、今日は私の誕生日じゃないぞ」
「いいから、開けてみて」
包装箱の中から出て来たのは高級ブランドのシャツが一ダースと、グッチのネクタイが一ダースだった
「シャツとネクタイなら充分あるのに」
「アルマーニやエルメスばっかりだと少し落ち着いた感じでしょう?あなたに似合うデザインを選んだの、グッチなら若々しくなるわ、ここのクローゼットに置いておくからいつでも着替えにいらしてね」
そして鈴子はせっせと定正の洋服から靴、着心地の良い部屋着、下着に至るまで、クローゼットいっぱいに満たした
翌月から鈴子の給料明細には「役員報酬」がついて今までの三倍になった
半年もすると、定正の髪型は新しいスタイルに変わった、そのヘアスタイルは社内でも最近の会長は若返っていると良評価だった、もちろん鈴子が選んでそのヘアスタイルにさせていたのだ
―妻の百合は・・・彼の変化をどう思っているのだろうか?・・・―
鈴子はそんな事を考えながら、ある意味挑戦の気分だった