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シーにあるホテル、ミラマーレはイタリア語で『海を眺める』という意味だ。
今まで泊まっていたラビティーランドホテルからは車で十分も掛からない……、のだけれど、この辺りは激混みゾーンなので、予定より少し遅くホテルに着いた。
緩い坂道を上がっていくとミラマーレの白い外観が見え、円形のロータリーを左側に進み、ホテル前に着く。
……のだけれど、そのままスルーして駐車場へ向かう。
両側に三角形になるよう綺麗に刈り込まれた木が並ぶなか進み、左折すると屋根付きの屋外駐車場が左右にある……けれどびっしりだ。
その奥に屋内駐車場があり、一方通行で徐行していって、なんとか駐車できた。
駐車場にあるエレベーター前で待っていると、涼さんと恵と合流できた。
エレベーターに乗って地上階に進むとホテルのエントランス前に着くので、テクテク歩いて行く。
ミラマーレはアルファベットのH型をしていて、真ん中の棒のところがシーのメインエントランスになっている、トスカーナ・ウィンド。
Hの下半分はゲート側を向き、上半分は目の前に広がる海、ポルト・ヴィータ(人生の港)・ウィンド。
右側は駐車場側、左側はヴェネツィア・ウィンドになっている。
裏技としてH型の上半分内部右手に、ホテル内部からシーに入場できる通路があるけれど、基本的にそこは入園時間から一時間経ってから利用できるそうだ。
現在の時刻は八時で、GW期間中はもうオープンしているし、ホテル宿泊の特典、ラッキーエントリーを使って十五分早く入園できる。
なので正攻法で正面エントランスから入る事にした。
尊さんはすでに、抜け目なくプレミアパスを取得していて、ショップで買い物する際の整理券、レストランの予約もしてくれている。
なのでその時間に合わせて行動しないとだけれど、頑張らなければ。
メインどころは押さえないと、という事で、初っぱなからフリーフォールが楽しめる、『タワー・オブ・フィアー』に行き、恵の希望でウミガメと話すやつを見に行き、今度はボートに乗って急流を楽しむアトラクションに向かう。
そのあと『インディー・ジョーンズ』の映画のアトラクションに行き、、ジェットコースターにも乗る。
人魚姫アリエラの世界観を楽しんだあと、シーの中を船で移動して、またホテル前に戻った。
それから予約していたレストラン『マゼラン』でフレンチのコースを食べ、ゴンドラに乗って少しゆっくりしたあと、映画『海底二万マイル』をイメージしたアトラクションと、『センター・オブ・ジ・アース』を楽しむ。
勿論、それぞれのアトラクションの近くにあるショップで、グッズを見るのも忘れていない。
それからアラビアンゾーンに行き、新エリアに行って、ラプンツェルやピーターパン、雪の女王のアトラクションを楽しんだ。
夕ご飯は『タワー・オブ・フィアー』の近くにある大きな船のレストランに行って、大きなお肉をモリモリ食べる。
最後にホテルに戻ったあとは、記念品としてホテルオリジナルのメダルを百円で作ってもらった。
そしてホテル内にある『ミケランジェロ・ギフト』でお土産を買いまくり、サロンでチェックインをする傍ら、諸々のドリンクやおつまみを楽しむ。
夜になるにつれ、恵の様子がおかしくなっているけれど、大丈夫だろうか……。
「……疲れた……」
心身共にグッタリした恵が呟いたので背中をさすってあげると、涼さんがニッコリ笑う。
「あとでフットマッサージしてあげようか」
「いっ、いいです!」
おやおやぁ……?
ニチャア……と笑うと、恵に肘で小突かれた。
「はぁ……、でもすっごい楽しかった! しかもホテルは皆の憧れミラマーレだし。尊さん、ありがとうございます!」
お礼を言うと、彼は嬉しそうに微笑む。
「楽しんでくれたなら何より」
「篠宮さん、ちょいちょい朱里の事、盗撮してましたしね」
恵にボソッと言われ、尊さんは「コンニャロ……」と生温かい顔で笑う。
私たちがいるサロンには天井に円形の飾りがあり、少しへこんだそこは十二星座の絵が描かれ、真ん中には地球を中心として太陽や他の惑星が回っている柄が描かれている。
ホテル全体が中世イタリアをイメージしているので、多分天動説の頃を表しているのだろう。
室内には他にも大航海時代を思わせる飾りや絵画があり、誰なのか分からないけれど肖像画もあった。
ステンドグラスを用いた縦長の窓の外には、ポルト・ヴィータやプロメテウス火山が見え、ライトアップされたシーの施設が見えて幻想的だ。
「……尊さん、あとでチェキ代もらいますからね」
アイドルのふりをして言うと、恵が笑った。