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「まずは第1段階。外側の柔らかい殻を剥きます。剥いたら、真ん中の水が入ったバケツに入れて下さい。青い実等で若干かたい場合は、コンクリの部分で足で踏んで中身を出して下さい」
という訳で、釣り用の椅子を持ってきて、皆でくるみ剥きを開始する。
実際にやってみると、割と簡単だ。
黒くなっているのは、手の力で簡単に剥ける。
黄色のも、ちょっと力を加えれば大丈夫。
「この外側は、綺麗に取った方がいいですか」
「水洗いしますし、どうせ殻も後で割りますから、気にしなくていいですよ」
そんな感じで、よいしょよいしょと全員で剥いて。
中ぐらいのバケツ5個の中程くらいまでになった。
「次は水洗い。こすりまくって、外についた部分を取ります。よく水を流しながらやって下さい。大体取れればいいですよ」
バケツ5個なので、1年生5人で作業。
その間に、先輩と先生は何やら他の作業をしている。
「洗ったら、南の縁側に新聞を敷いておきましたので、そこで干して置いて下さい。綺麗に干しておかないと長持ちしないので、結構重要な作業ですよ」
ああ、やっと一仕事終わった。
そう思ったら、次にとんでもない作業が待っていた。
「さあ、女工哀史の世界へようこそ」
先輩が、そんな事を言っておいでおいでしている。
場所はいつもの和室。
南側に、くるみを干している縁側がある部屋だ。
「ジュズダマは、実は結構美味しい。ドングリと同じで、簡単に採取出来て主食にもなる優秀な野草だ。しかし、食べるまでには、なかなか面倒くさい作業が待っている」
ペンチに似た工具が、大きさこそ違えど6つ置いてある。
他には、短い針金と、小さいボール6個、そしてジュズダマの入ったボール。
「まず、各自の前に新聞紙を敷いて、その工具、プライヤーと言うけれど、それを1人1つずつ取ってくれ。その針金も1人1本」
そして先輩は、今朝採ったジュズダマをほぼ等分して、全員の新聞紙の上に置いた。
「さて、作業内容を説明しよう。ジュズダマを取る。そして、このプライヤーでお尻部分を、こうやって掴んで軽く力を入れる。次に、ジュズダマを回転させて、もう1度プライヤーに力を入れる。そうすると、こんな感じで殻の後半分が取れる」
すぽっと、ふたのように殻の半分が取れた。
「この状態で、ジュズダマの先っぽ部分から、針金で押してやると、ほら、皮に包まれた中身が出てくる。この皮を取った、中の茶色い部分をこのボールに入れる。
作業は以上! 自分のノルマ達成まで、トイレと水飲み以外は禁止だ」
女工哀史と言った理由が、理解出来た。
「つまりは、自分のノルマが終わるまでは、強制労働だと言う事ですね」
「採取したものは、自分でちゃんと始末しようという事だ」
「面倒くさそうなのだ」
「諦めろ。採ってしまったからには、無心にやれ」
そんな訳で、思わぬ強制労働が幕を開ける。