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kaede🍁
その夜、誰も眠れなかった。
リビングの空気は重いまま、時間だけが過ぎていく。
辰哉がふと立ち上がった。
「……アルバム、あるよな」
その一言に、全員が反応する。
押し入れの奥から出てきたアルバムは、
少し古くなっていた。
表紙には、家族写真。
まだ両親がいて、
みんなが同じ方向を向いて笑っている。
ページを開く。
最初に出てきたのは、
生まれたばかりの翔太だった。
小さな小さな赤ちゃん。
でも目だけは驚くほど大きくて、
じっとカメラを見つめている。
「……これ」
康二が小さく笑った。
「めっちゃ目ぇくりくりやな」
次のページ。
兄たちに抱っこされている翔太。
辰哉の腕の中で安心したように眠っている。
照の肩に寄りかかっている写真では、
小さな手がぎゅっと服を握っていた。
「かわいいな……」
誰かがぽつりと呟く。
ページをめくるたびに、
そこには“笑っている翔太”がいた。
泣いていても、
怒っていても、
必ず誰かが隣にいた。
でも途中から、
写真の数が少なくなっていく。
亮平の体調が悪くなり始めた頃。
辰哉のバイトが増えた頃。
照たちが部活に追われていた頃。
翔太の写真は、
少しずつ減っていった。
そして最後の方には、
ほとんど写っていない。
辰哉の指が止まる。
「……俺ら」
声がかすれる。
「いつから、翔太撮らなくなったんだろうな」
誰も答えられない。
アルバムの最後の方には、
少し色あせた写真が一枚だけあった。
それは幼い翔太が、
リビングの隅で小さく笑っている写真だった。
でもその目は、
どこか遠くを見ているようだった。
亮平はその写真を見た瞬間、
息を詰まらせた。
「……この時からもう」
言葉が途切れる。
「もう、ひとりだったのかもしれない」
その瞬間、
誰もアルバムをめくれなくなった。
静かなリビングに、
ページを押さえる手だけが震えていた。
コメント
10件
おわぅ(?)目から水が、

しょっぴー😭😭😭ここからどういう展開に!?!?!?