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kaede🍁
電話の音が、リビングの静けさを切り裂いた。
辰哉が反射的に出る。
「……はい、深澤です」
一瞬の沈黙。
次の瞬間、辰哉の表情が変わった。
「……え?」
照が顔を上げる。
康二が息を止める。
亮平はアルバムから顔を上げたまま動けない。
「……翔太くんが、意識を取り戻しました」
その言葉に、
空気が一気に動く。
「ほんとに!?」
辰哉の声が震える。
「はい。ただ……」
医師の声が少しだけ慎重になる。
「かなり混乱していて、精神的にも不安定な状態です。今、ご家族に来ていただければ会えますが……」
辰哉は即座に立ち上がった。
「行きます!」
全員が一斉に動く。
車のドアが閉まる音が重なり、
病院へ向かう道は、
さっきとは違う緊張で満たされていた。
そして病室。
白い部屋。
点滴の音。
小さなベッド。
その中央に、
翔太はいた。
目は開いている。
でも焦点が合っていない。
呼吸はまだ弱い。
亮平が一歩前に出る。
「翔太……!」
その声に、ほんの少しだけ視線が動いた。
でも次の瞬間。
翔太の口から、
静かに言葉がこぼれた。
「……ぼく」
かすれた声。
「なんで生きてるの…」
一瞬で、
病室の空気が凍った。
辰哉の足が止まる。
照の呼吸が乱れる。
康二が唇を噛む。
大介は目を見開いたまま動けない。
蓮は静かに翔太を見つめる。
亮平だけが、
ゆっくりと近づいた。
「翔太……」
声が震えている。
でも翔太は、
天井を見たまま続ける。
「……もう、いいと思ったのにっ」
「静かだったのに」
「やっと、いなくなれるって思ったのにっ」
その言葉は、
泣いているわけでも怒っているわけでもなかった。
ただ、事実を言っているだけだった。
それが一番、重かった。
亮平の目から涙が落ちる。
「違う……違うんだよ、翔太」
「生きててほしかったんだ」
翔太の視線が、ほんの少しだけ揺れる。
でもまだ、
その言葉は届いていなかった。
長い間ひとりで抱えてきた“静かな孤独”は、
そう簡単にはほどけなかった。
コメント
8件
生きる意味とかいらねぇだろ!!!T^T
言い訳は、いらない🥹 何も言わずに小さな翔太を兄弟みんなで抱きしめて😭
