あ、これは、続きでは、ありませぬ!
深夜、君は目を覚ました。夜中の3時。枕元に置いていたスマホが、まるで誰かに呼ばれたかのように震えている。
最初は、ただの通知だと思った。でも、画面に表示されたのは、見知らぬ番号からの着信。無視しようかと思ったけど、何かが引っかかって受話器を取る。
「もしもし?」
返事はない。ただ、無音のまま、電話の向こうから何かが聞こえてくる。
君は息を呑む。かすかな呼吸音が、電話の向こうから伝わってきた。誰かがこちらを見ているような、息をひそめているような、そんな気配。
そして、次の瞬間、耳元で低い声がささやく。
「…君は、見ている?」
その声に、君の心臓が凍りつく。だが、電話は切れなかった。電話の向こうからは、だんだんとひとしきりの足音が響き、そして、また無音が続く。
「…どうして、見ているんだ?」
震えが止まらない。画面を見ても、電話の相手は表示されていない。君は必死で電話を切ろうとするが、受話器を取ってから何度も試しても、切れない。
その瞬間、画面が真っ暗になり、何も見えなくなる。部屋の中も、静けさに包まれる。
そして、電話の向こうから最後に届いたのは、ただ一言。
「もう、遅い。」
その後、何も起こらなかった。しかし、君は気づく。自分の部屋の窓が、開いていることに。
窓が開いている…?
君は思わず飛び起き、寝室のドアを開けてリビングに向かう。まだ心臓が激しく鼓動しているのを感じる。何かが不自然だった。あの電話の後、何かが変わったような気がした。
リビングに到着すると、窓が少し開いている。風が少しだけ入ってきて、カーテンがわずかに揺れている。
「そんな…」
君は自分が寝ていた部屋から、リビングまで一歩も外に出ていない。鍵もかけてあったはずだ。でも、窓は開いている。背筋に冷たい汗が伝う。
手が震える中、スマホをもう一度手に取る。画面が暗いままだ。でも、何かが違う。
電話履歴に、さっきの無音の着信が、今も残っていた。
君は思わずスクロールしてみる。すると、一番上に表示されたのは、見覚えのない名前。全く見覚えのない人物の名前が、着信履歴にある。
「これ、誰だ…?」
名前を押し、通話履歴を開こうとすると、画面が一瞬だけフラッシュし、次の瞬間には電話がかかってきた。
今度は、画面に番号が表示される前に、声が聞こえてきた。
「…やっと、気づいたか。」
電話の向こうの声は、あの低い声と同じだ。だが、今回は明らかに笑っているような、不気味な音が混ざっている。
君は恐怖で震えながら、何とかその電話を切ろうとする。でも、スマホの画面は一向に反応しない。
その時、背後で、ほんの小さな足音が聞こえる。
「誰か…?」
君は振り返るが、何も見えない。リビングの灯りが一層薄暗く感じる。
その足音が近づいてくる音が、はっきりと聞こえる。どんどんと、君に向かって迫ってくる。
一歩、また一歩。
そして、君は気づく。足音の主は、確実に君の後ろにいる。
背筋が凍りつき、振り返った瞬間—
「お前、見てるだろう?」
その声が耳元でささやかれた。君は恐怖のあまり、声を出すことさえできない。目の前に立つ者は、誰か分からない。ただ、黒い影だけがそこに立っている。だが、その影の目は、君をじっと見つめていた。
そして、影が口を開けた。
「逃げられないよ。」
その言葉と共に、部屋の空気が一変し、温度が急激に下がった。
君はただ、震えながらその影を見つめるしかなかった。
そして、最後にもう一度その声が響く。
「今、君の後ろにいるのは、誰だと思う?」
その瞬間、君の全身に冷たい恐怖が走った。影がゆっくりと近づいてくるのを感じ、心臓が鼓動を速める。その影がまるで君の背後から迫るように感じる。目を閉じて、心の中で必死に叫ぶ。
「お願い、誰か助けて…」
だが、その声は出ない。身体が固まって、動かすことができない。影がさらに近づき、君の耳元で冷たい息が感じられる。
その時、急に部屋の灯りがパチンと消えた。周囲が真っ暗になる。
そして、君の耳元で、もう一度あの低い声が響いた。
「お前…見てるんだろう?」
その声は、まるで背後に隠れている者が、君の心の中を覗いているような、そんな恐怖を抱かせるものだった。君は震える手で、必死にスマホを握りしめたが、画面はもう真っ暗になっている。
その時、また画面が光を放つ。ほんの一瞬だけ。
その光の中に、見覚えのない顔が現れた。目が異常に大きく、口が裂けている。その顔が、じっと君を見つめている。
その顔が言う。
「お前を、ずっと見ていた。」
目をそらす暇もなく、画面がまた暗転した。そして、その瞬間、君の後ろからささやく声が聞こえる。
「もう遅いよ。」
恐ろしいことに、声はもはや君の耳のすぐそばではなく、今度は部屋の隅から、あちこちから、無数に聞こえてきた。何かが、君を取り囲んでいる。君は目を見開いたまま、動けずに立ち尽くす。
そして、その時、最後に画面に表示されたものは、もうひとつのメッセージだった。
「もう、君の世界に戻れない。」
そのメッセージが消えた瞬間、君の目の前に、あの影が現れた。顔はもう、君のすぐ目の前に。目を見開いて、口を裂けたその顔が、ゆっくりと開く。
「君も、見てるんだよ。」
その瞬間、すべてが静寂に包まれ、君の意識は次第に遠ざかっていった。
どう?怖かった?怖かったら教えて下さーい!
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