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「鏡の奥のユリ」
始まりの鏡
高校二年生の**美咲(みさき)は、放課後に古い骨董店で一枚の鏡を見つけた。
どこか惹かれるようにその鏡を手に入れる。縁には古びた模様が刻まれ、曇ったガラスにはかすかに「ユリ」**という文字が指でなぞったように浮かんでいた。
その夜、美咲が鏡を磨いていると、鏡の中に自分そっくりの女の子が微笑んでいた。
驚いて手を離すと、鏡の奥からかすかに声がした。
「やっと、見つけた… 美咲ちゃん…」
もうひとりの私
翌朝から、美咲の周りで奇妙なことが起き始めた。
友達の紗英が階段から落ちて腕を折り、教室の窓ガラスが突然割れる。
どれも美咲が**「嫌だな」**と思った直後に起こっていた。
夜、鏡の中のユリは言った。
「あなたの願いを、叶えてあげただけ」
「私と入れ替われば、もっと自由になれるよ」
美咲は恐ろしくなり、鏡を押し入れの奥に隠した。
だが次の朝、鏡は机の上に戻っていた。
境界
数日後、美咲の顔色は悪くなり、授業中もぼんやりするようになった。
鏡を見るたびに、ユリの笑顔が少しずつ自分の顔と重なっていく。
夜中、鏡の前に立つと、ユリが手を伸ばしてきた。
その手は冷たくて湿っていた。
「もう少しで、ひとつになれる」
美咲は叫びながら鏡を割った。
しかし割れた鏡の破片に映っていたのは、美咲ではなくユリが笑っている顔だった。
鏡の向こう
美咲の母が翌朝、部屋に入った。
机の上には、綺麗に直った鏡が置かれている。
鏡の中の少女は穏やかに微笑んでいた。
「おはよう、お母さん」
母は涙ぐんで笑った。
「やっと元気になったのね、ユリ…」
鏡の外では風が静かに吹いていた。
そして鏡の奥では、必死に叩く美咲の姿が、誰にも見えないまま揺れていた。