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「隙を見て、1人ずつ準備室で昼食!」
そういう指令が回ってきた。
どうやらスパゲティが出来たようだ。
「私と先輩は食べてきたから」
「じゃあ美洋、先に行ってください」
「わかりました」
という事で、美洋さんが準備室へ。
今がちょうど12時。
本格的に混む10分前までは、まだ余裕がある。
未亜さんがクッキーを伸ばして、大量に焼き始めた。
こっちもミックスナッツを準備。
試食用のミックスナッツを入れる、折り紙製の紙コップを開いて用意していると。
「よう、未亜。久しぶり」
父兄かな。
それにしてはちょっと若いかなという大人の男性が、未亜さんに声をかけた。
「あうっ、これはこれは……」
「挨拶抜き。それに、美洋が休憩中なのはわかって来ているからさ。下手に顔を見せると、怒られるからね」
彼はそう言って、そして僕らの方を向く。
「どうも、初めまして。美洋の父です。いつも色々世話になっているようで、申し訳ない。どうせ美洋のことだから、色々思いついては引っ張り回しているだろうし」
未亜さんのお父さんにしては、かなり若い感じだ。
ただ若いだけでなく、何か色々出来そうな雰囲気がする。
格好はポロシャツにチノパンという、中高生並の服装なのだけれど。
「いえ、こちらこそ美洋さんにはお世話になっています」
ここは、さらっと挨拶をしておこう。
「いや、未亜から色々聞いているよ。同じ勉強を教えるのでも、私が教えると厳しいと文句を言う癖に、悠君の言うことだと素直に聞くんですよとか。とにかく思いつきのまま走るから、先輩や彩香さん、亜里砂さんや悠君には、色々迷惑をかけている、とか」
「未亜、何気に厳しい事を書いているのだ」
亜里砂さんの追及に、
「事実なのです」
未亜さんが、さらっとそう流して、ちょっと笑える。
「そんなに色々連絡しているんですか」
「週1程度なのです」
それって結構多いような気がするのは、僕の気のせいだろうか。
「でも、仕事の方はいいのですか」
「有給休暇を年最低20日は取ろう運動をしているからね。今日の夕方の新幹線で帰るけれどさ。だから、ちょっと美洋と未亜が、どんなところにいるのか見てみたくてね。
さて、忙しいところ失礼したかな。それでは、そろそろ」
「その前に、美洋と作ったクッキー生地が焼けてきたから、どうぞなのです」
未亜さんが、ホットプレートから1枚、クッキーを取り出す。
何か、未亜さんが話し足りなさそうだ。
それに、お父さんは、美洋さんにまだ会っていないし。
だからちょっとだけ、僕も気を回すことにした。
「何なら、未亜さん。奥で、ちょっと美洋さんを含めて話してきたら。どうせ次の休憩は未亜さんだし、あとはクッキー第2弾を焼けば、それでいいしさ」
「そうそう。ここそのものは、4人で回せるしね」
彩香さんも、そう言ってくれる。
「でも……」
「はいはい。折角だから、ゆっくりしてきな」
という事で。
先輩が、なかば未亜さんを追い立てるように、奥へ。
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