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その後。
戻って来た2人と交代して、銀杏入り胡桃入りの焼きスパゲティを食べて。
僕が最後だったので鍋などを一通り洗っておいて、また表を手伝ってと。
午後2時45分に放送が鳴る。
「展示会場の方は、午後2時50分で終了致します。午後3時からは講堂で舞台発表の部を行いますので、全生徒は講堂の方へ、時間までに集合して下さい」
事実上の、展示終了のお知らせだ。
文化祭が1日しか無いので仕方が無いけれど、ちょっと短いよな、やっぱり。
「はいはい、皆さん、講堂へ向かって下さいね。ここは私が鍵を閉めておきます。片付けは、明日やればいいですから」
明日は1日、片付けに使っていい事になっている。
そんな訳で、僕らは先生に半ば追い立てられるように、部屋を追い出された。
「クッキー生地とかの在庫は、どれ位残っている」
「明日、全員で2枚ずつ食べるくらいですね」
主にクッキー担当をしていた美洋さんが、そう報告する。
「絶対に大量に余ると思ったのに、思った以上にはけたのですよ」
「ミックスナッツは全滅なのだ。私がこっそり持って帰る分も、残っていないのだ」
おいおい、亜里砂さん。
本気かどうかはわからないが、邪念が入っているぞ。
「まあ、大成功と思っていいんじゃないか」
先輩からも、そう言って貰えた。
そんな訳で、ちょっと上機嫌で講堂に向かう。
◇◇◇
午後5時30分、時間を30分ほどオーバーして、舞台発表の部は終了。
今日はこれで学校は終わり。
片付けなどは、明日になる。
講堂出口の混雑を避けて、人が少なくなってから動き出そうとしたら。
「悠さん、ちょっといいでしょうか」
後ろから、美洋さんが声をかけてきた。
「いいよ。何」
「ちょっとだけ、話がしたくて」
美洋さんは、そう言って歩き始める。
もう、ほとんどの生徒は出ていって、先生くらいしか残っていない。
僕と美洋さんは講堂を出た後、ぐるりと出口から回った非常階段に腰を下ろす。
「未亜が今回の展示・試食会について、ぼそっと言っていました。実力4割だとしてもいい入りだったなって。未亜の言った事だから、きっと事実なのでしょう。それで、ちょっと色々落ち込んでしまって」
亜里砂さんが言っていたことと、同じ内容だろう。
未亜さんも魔法ではないが、心理系に使える術を持っている。
「だとしても、実際に来て貰えて一通り体験までして楽しんで貰えれば、それでいいんじゃないかな」
「悠さんはさらっとそう言ってくれます。でも、やっぱり自分の実力じゃないという感じで、ショックです。家のことで特別視されるのが嫌で、それで親から許可が出た中で、一番家から離れられるこの学校に来たのに。それでも、私を特別視する人が、やっぱりいますし。
私でなく、私の家で、私を見たり評価する人が多いんです。確かに、私自身は成績もあまり良くないし、色々と普通以下のところも多いです。家のことがなければ、目立たない、ごく普通の女の子です。
でも私は私なんです。竹川家の長女で後取り候補筆頭、ではなくて、美洋なんです」