テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「本当は色々3人に事情聴取をしたいところだけれどさ。まず、何時からいた?」
「当然、最初の私の失言の話からなのですよ」
つまり、最初からいたと。
「3人とも?」
「何となく一緒になったのだ」
亜里砂さんの言葉に、彩香さんも頷く。
「一緒に寮に帰ろうと思ったら、2人で話をしていたから、つい」
まあいつもの行動パターン的に、そうだろうなとは思う。
美洋さんなり僕なりが、なかなか出てこなかったりしたら、気づくだろうなと。
亜里砂さんは、表層思考を普通に読めるし。
「ついでだから聞いてみよう。今回の文化祭の野遊び部の展示実演会、どうだったと思う? 代表して亜里砂から」
「大成功なのだと思うのだ。確かに、来てみるきっかけが美洋だった人が、半分以上なのだ。でも美洋に関係なく来た人それぞれが、それなりに楽しんだり満足していたのは確かなのだ」
「ある意味弱小な課外活動なので、ネームバリューが無いのですよ。それであれだけ来て貰えたのは、良かったと思うのです」
「皆さん、美味しそうに食べたり、楽しそうに殻剥きしたりしていたしね」
僕は頷く。
「だから、うちの部は美洋さんのおかげで助かった事はあれ、困った事は無いしさ」
僕がそう言ったところ、
未亜さんが付け加える。
「あと、美洋が気にしたのは、それなりの背景があるのです。きっと今回顔を出した美洋のお父さんの事も、きっかけのひとつなのです」
そう言えばお昼に来たな。
若いけれど、出来る感じの人だった。
「狐系は女系家族で、あの人も元々は外部の普通の人なのです。ただ既に里にはなくてはならない1人として、五本家の一家として以上の存在になっているのです。
里の主な産業は林業なのですが、じり貧一方だったのを、建築会社や設計士事務所と組んで国産材住宅のブランドを作り、一気に儲かる産業にしてしまった人なのです」
「確かに、出来る人の雰囲気はしたけれどさ。それにしては若そうに見えたけれど」
僕の疑問には、美洋さんが答えてくれる。
「うちの母の術のおかげよ。本当は、あれでも40代前半」
そうなのか。
20代後半くらいに見えた。
「里では、表だって父の悪口を言う人はいないです。取り入ろうとする人は大勢いますけれど。そのくせ影で色々言われているのは、私だって知っています。よそ者が里の資源を使って目立つんじゃないって。実際会社を乗っ取ろうとして、うちの家の料理に毒をしかけた事件もありました」
「私が気づいて、未遂に終わったのですけれどね。そんな訳で、美洋は里の閉鎖的かつ、そんな空気を嫌っているのです。ただ、美洋の父、雅彦さんの仕事のおかげで、里が離散せずに維持出来ているのも事実なのです。それが無いと、補助金を充てにした、じり貧の林業のみが産業の里なんて、とっくに離散しているのです。
ただ、それを正当に評価できずにいる、古い考えの人が多いのです。他の4つの本家なんて、正にそうなのです。雅彦さんに仕事を回して貰って、なんとかやっているのに、文句しか出てこない。でも、自分で何か出来る才覚は、全く無い。
実際、同じような事をやろうとして、本家2つが身上を崩したのです。それにも懲りずに、都合のいい小ずるい事ばかり、今だ考えている。そんな里の空気を、美洋も私も嫌っているのです」