緊急事態です………!!! と、心の中で菊は叫んでいた。
遡ること数分前。休暇に菊は少し買い物ついでの暇つぶしに大型ショッピングモールに来ていた。
「出来ているのは知っていましたが……初めて来ましたね……ここまで規模が大きいとは驚きですね…迷ってしまいそうです…」
呟きながらいろんなお店を1軒ずつ見ていく。
「そういえば、靴を新調したいですね」
と、通路の途中にあったデジタルマップを覗く。
「5階でしたか……少し遠いですね…」
自然と足が階段よりエレベーターを選び、その方向へ歩を進めていた。
エレベーター上のライトが点灯し、もうじき来ることを知らせた。
扉が開いたため菊は中に入る。中にはいかにも流行に乗っている様な格好の女子高生が3人。何やらそのうちの1人の携帯を覗き談笑している。
これがあの世間でJKと言われる人たちなのですね、と思う。
ガコンッ!!! と鳴ると同時に、いきなりエレベーターが停止した。
「え、何何」
「もしかして故障?笑」
「初めて立ち会ったわ〜笑」
と、あの3人が思い思いに、のん気に喋っている。
そんな中、菊は内心とても焦っていた。
その理由は3つ。
1つ、初めてのエレベーターの急停止で何をすれば良いのか分からない。
2つ、何よりあの女子高生たちだ。一緒の空間にいたことでハラスメントだ何だと言われてしまうかもしれない。
そして3つ、〝女子高生=未知の存在=怖い〟だ。
そして冒頭に戻る。
じじい扱いされても事実のため許せるが、受け答えが難しい。どんな対応をすれば快くなるのか全く見当がつかない………。とぶつぶつしていると、
「あのー、」
と声を掛けられた。まさにパニックだ。
「は、はい…」
と、一応、かろうじて返事をする。
「そんな隅に寄らなくても大丈夫ですよ?」
え、と思い自分を見ると女子高生の言う通り角の部分にめり込むようにして立っていた。
正直、気が付かなかった。
「す、すみません……///」
と、小声で言った。3人でクス、と笑っている。穴があったら入りたい、とはこの時のための言葉なのではと思った。
また口を開こうとしている。今度は何を言われてしまうんだ、と菊は身構える。
すると、
「お兄さん可愛いですね」
と言われた。お兄さん……?可愛い………?時が止まったかのように固まる。
「写真いいですか?」
「え………?あ、私でよければ……、、」
パシャ。
何故かキャッキャしている。菊は本当に意味が分からなかった。
幸いその後、すぐに動き始め、無事に帰って来ることができた。降りたあとも疑問が止まらなかった。
いつもの会議後、この話をちょっとした土産に持ってきた菊を、周りはあはは……といろんな感情で笑っていた。
〈おまけ〉
エレベーター再稼働後。
「ねぇあの人可愛かったよね!」
「それな?何歳なんだろー?年によっては狙ってたわ笑」
「18ぐらいじゃね?」
「確かに」
「違ったらヤバいわ笑 絶対10代かあっても20代」
「グルラで写真送ったらさきタイプだってさ笑」
「ウケるー笑」
「さきと戦うなんて勝てっこないって笑」
「かませばイケるっしょ笑」
女子高生らしい高い笑い声が聞こえる。
コメント
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JK達は知らない…菊は2000歳以上こえてることに…