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うわあ、めっちゃ尊い回でした……!リィラがゼンティにご飯食べさせてあげるシーン、名前呼びにゼンティが喜ぶところ、もう胸がきゅんってなったよ。それに子犬だと思ったらまさかの妹で、リィラが無意識に笑顔になるのを見て読んでるこっちもほっこりしました。獣魔族の設定もじわじわ世界観が深まってきて、続きがすごく気になる……!
何度も何度もナイフとフォークを落としては拾い、その繰り返しでゼンティの食事は全く進まない。
またしても落としてしまったフォークをゼンティが拾う前に、リィラがそれを片手で素早く拾う。
そして、もう片手の自分のナイフを加えてゼンティの皿のハンバーグを小さく切る。それをフォークで刺すとゼンティの口元に運ぶ。
「……ほら。ゼンティ、口を開けて」
ゼンティは赤い瞳を丸くして驚いた顔を向けたが、すぐに嬉しそうにして口を開けた。
リィラにハンバーグを切って食べさせてもらう姿はまるで子供だが、ゼンティが嬉しそうなのはそれだけはない。
「ふふ、やっと僕を名前で呼んでくれたね」
獣魔のくせに、そんな些細な事で嬉しそうな顔をするのが意外で……センティを殺された憎しみすらも霞んでいく気がした。
やっとゼンティに全ての食事を食べさせ終えると、リィラはほっとして息を吐く。全く世話の焼ける王だ。
なんで自分はゼンティの餌になったり食事を食べさせてあげているのか。そんな事を考えていたら、なぜか足元がくすぐったい。
テーブルの下を覗くと、黒くてフワフワした小さな生き物が足に顔をすりつけていた。
「えっ……子犬!?」
リィラが驚いて声を上げる。その声に反応してゼンティもテーブルの下に目を向ける。
「あぁ、可愛いでしょ? 抱いても大丈夫だよ。この子は優しいし毒に強いから」
この城で飼っている子犬だろうか。リィラが抱き上げて膝の上に乗せると、ぬいぐるみのようで確かに可愛い。
真っ黒で艶のいい毛並みと丸い顔、赤い瞳。膝の上で二本足で立ち、リィラが顔を近付けるとペロペロと頬を舐めてくる。
「ふふっ……可愛い」
「あ! リィラちゃんが笑った! 可愛い!」
リィラは子犬を可愛がり、ゼンティはリィラを可愛がっている。毒を持つリィラは動物とも触れ合った事がないので、つい気が緩んでしまった。
ついには子犬がリィラの唇を舐め始めたので、妬いたのかゼンティが膨れた。
「こら! 美味しそうだからって味見しすぎだよ! ほら、アレンの所に行きな」
ゼンティが少し離れた席に座るアレンの方を指差すと、子犬は素直にリィラの膝から飛び降りた。
そしてアレンの所まで駆けていくと、今度はアレンの膝の上にピョンと飛び乗った。子犬はアレンにかなり懐いている。
そんな微笑ましいシーンを見たリィラの心は温まり、表情も氷が溶けたように柔らかくなる。
「可愛い子犬……ゼンティのペットなの?」
「子犬じゃないよ、魔物だよ。僕の妹」
「え……妹?」
何の冗談だろうかと思ったが、ゼンティの顔を見ると嘘を言ってるようには見えない。
「獣魔族は生まれてから成人するまでは獣の姿なんだよ」
そういえば、さっきアレンも教えてくれた事だった。
さらにゼンティが説明を加えてくれた。このベスティア王国に住むのは成人した獣魔のみだが、王族は例外であると。
成人前の獣魔は、野生の魔物として森に生息しているという。いずれ全ての獣魔族に人間の体を入手させて王国に迎え入れるのが目標らしい。
……つまり、そのために人間を捕食するわけで、それだけの犠牲者が出る事になる。
そんなリィラの心も知らず、妹の姿を見つめるゼンティの優しげな瞳は兄の顔だ。
「子犬みたいに見えるけどね、あの子はもうすぐ成人するレディだよ」
「……妹さんの名前は?」
「成人前だから、まだない。リィラちゃんが仮の名前を付けていいよ」
#ロマンスファンタジー
百はな🍑
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こはる
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これもアレンが言っていた。成人したら人間を捕食して、その人間の『体と名前』を得るのだと。
しかし突然、名前を決めてもいいと言われても困る。呼び名がないのは確かに不便だが、お姫様の命名は責任重大だ。