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私の住むマンションは、小さなキッチンとバスルームがついた少し広めのワンルーム。
家賃も手頃なのが有難い。
駅までは少し歩くけれど、良い運動にもなるし、電車に乗ってしまえば職場まではあっという間に着く。
ここに住んでもう3年経つけれど、つい最近、私の3つ上の姉が近くのマンションに引っ越してきた。
たまに私の部屋に遊びにくるけれど……
「今日は来ないで」と、密かに願う自分が嫌になる。
ゆっくり休日を過ごしたくてミルクティーを入れた時、その願いは虚しく宙に消えた。
ピンポンと鳴るインターフォン、誰が来たかを確認するのがおっくうになる。
「琴音、いるんでしょ?」
その声にため息をつきながらドアを開けた。
「ほら、やっぱりいるんじゃない。さっさと開けなさいよ」
「涼香姉さん、今日はちょっと忙しいから」
「少しなら大丈夫でしょ? お邪魔します」
「あっ、ちょっと待って」
姉さんは、私の予定など全くお構い無しに行動し、中に入ってきてテーブルに座った。
「ミルクティー、私のもお願い」
最近、こうしてたいした用事も無いのによく訪ねてくる。
私は、仕方なくキッチンでミルクティーを入れた。
桜木 涼香(さくらぎ りょうか)、28歳。
168cm、スラッとしたスタイルで、有名百貨店の洋服売場で販売員をしている。人気のブランドで値段も相当お高いお店。私には、一生かかっても買えないだろう。
切れ長の目、鼻筋が通ったかなりの美人で、雑誌のモデル経験もある。
ふんわりと丸みを帯びたショートスタイルで、前髪からバックにレイヤーでつなげた大人っぽい印象の髪型が、確かに姉さんには良く似合っている。
私とは正反対で、昔から自分の容姿にかなり自信があるようだった。周りもみんな、涼香姉さんを「とても綺麗な人だ」と口を揃えて言っていた。