「今日早めにここで終わってこの前のテストの個票返すなー」
個票。担任の口から聞く言葉で三番目くらいに嫌いな言葉。今回こそは、今回こそは学年200位台から抜け出せますように。
「萩原、は、、個票返すからこの授業は来いつったのになあ」
「花田ー」
───ガラッ
私の名前が呼ばれた瞬間、教室のドアが開いた。
「お、萩原来たな」
萩原は先生に個票を受け取り、一瞬見ただけでただ席に着いた。
「花田ー」
個票を受け取って何も見ず、とりあえず席に座る。お願いします、最低でも199位で頼みます。
「りょうりょうりょう、いかがですか順位は」
由依が私の肩に乗ってきた。
「、、、、、218位」
「、、、凌、、今回こそはって、、めっちゃ勉強してましたやん、、」
「もう駄目だ前回より下がってるし、、下に22人しかいないってことだよこれ」
「いやわかってるよそんなの。それ私が言うセリフだから」
「クラストップは今回も萩原だなー」
先生がそう言うと、酒井たちが静かに騒ぎ出した。
「だりー」「うぜー」「帰れー」 萩原に聞こえるか聞こえないかの声量で。
「ちゃんと学校来てる俺らが可哀想でーす」 「これ貰うためだけに学校来んなよって」
思っても口にすんなよ、とは思った。
すると萩原は個票とスマホだけを持って席を立った。
「帰んの?」
私はついそう口にしてしまったが、当然無視だった。萩原は先生の前を通り「腹痛いんで」と言って教室を出ていった。
コメント
7件
面白いお話ですね☺️
面白かった!!応援してる!