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ミケは、マチルダのパートナーだった。
マチルダ…………
ピークの嘗ての恋人。
スパイ同士の恋。
騙し騙されの世界で、唯一愛したマチルダ…………
彼女は…………
三重スパイだった。
味方の國から潜入した北方の國、更に母方の母国である北欧の國…………そこが彼女の拠点であった。
俺もまた、騙されていた…………
まぁ、俺から言わせれば二重も三重も変わりねぇ。
それよりも彼女を、愛していたから。
ある日、彼女はミッションを実行する為に、ミケを部屋に置いて出て行った。今日のミッションは表向きの銀行員を装って、証券会社の配置、間取りを確認するものであった。裏ではドラッグを売買している……そういう噂は俺の耳にも聞こえていた。
ミケの頭をクシャっと撫でて、マチルダは部屋を出て行く。建物脇にある駐車場に止めている、いつものスチームパンク風のルーアンヴァンに乗り込む。
車体側面に蒸気排気口が並び、走るたびに白煙を吹く。真鍮と黒鉄で組まれた外装、リベット打ちの重厚デザイン。内部は石炭+蒸気+試験的エーテル燃料で動くハイブリッド。音は「キュルルルッ……シューーーッッ!!」っていう独特の走行音…………
その音が鳴った瞬間、
ルーアンヴァンは、爆発、大破した。
全ては、バレていたのだ。三重スパイ。マチルダは知らない。味方の國と、北方の國、そして北欧の國が、
グルであった事を。
そうなれば既にスパイの意味を成していない。
これはマチルダだけでなく、全諜報員に言える事だ。
汚れた國同士が手を取り合う。
1番、起きてはならない、
事が歪んだ政治というその名の元に、
御御旗を掲げ始めたのだ。
ピークは、マチルダとの思い出を回想する。
何をするでも無くベッドで戯れ…………
たまにミケが、邪魔しに来て…………
夕刻に食材を買って、ワインを呑む。
何気ない生活が、愛おしくて……
膝の上に乗るミケ。
こいつも、思う所はあるんだろうなぁ…………
俺は何も知らないフリを続ける…………
呑む酒が、苦い…………
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猫を修道院に連れて行っても、猫のまま」(エチオピア) 意味:本質は変わらない。 例:どんな環境でも、彼は猫のままだね、変わらないよ。
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