テラーノベル
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本物の恋をした人間の前だけに現れるという、伝説の魔法の花屋。
その花屋で宮舘涼太は、大きな球根を受け取った。成人男性でも抱えるのに苦労するほどの大きな鉢に埋められたその球根は、貴方がどうしても手に入れたい花が咲く、という。
店主の老人は、遠くなった耳で、何度も聞き間違いをし、長い白髭をこすりながら微笑んだ。
『貴方に幸福が訪れますように』
外れそうな入れ歯を浮かせてふがふがそう言うと、満足げに椅子の背に寄りかかり、ほとんど開いてない目を再び閉じた。
Snow Manと、戸口に書かれた広い楽屋で、メンバーの岩本と渡辺が仲良くひとつのソファに座っている。渡辺は眠いらしく、岩本の肩に頭を乗せたまま、遠慮なしに大きく口を開けて欠伸をした。
💛「眠いの?」
柔らかい髪を撫で、愛おしそうに岩本が言う。ほとんど眠っている渡辺は、ふにゃふにゃと何か言葉にならないことを言った。岩本は目尻を下げっぱなしにして、渡辺の髪にキスした。
そんな様子を歯噛みして見ている男が一人。
他でもない渡辺の幼なじみである、宮舘だ。そう、先日、球根を謎の花屋から持って帰ったあの男である。
❤️「ねぇ、阿部」
💚「ん?どうかした?」
❤️「どうもこうもないよ。あれ見てよ」
💚「あー。翔太と照?…そんなの今さらじゃん」
阿部は全く興味がなさそうに、参考書に視線を戻した。目的の資格の勉強をいつも空き時間に真面目にやっている阿部は、どうやら難問にぶち当たったところらしく、難しい顔をしている。そこへ阿部の恋人の目黒が現れた。
🖤「阿部ちゃん阿部ちゃん、ちょっと」
阿部に何か耳打ちすると、阿部は蕩けるような視線を目黒に送り、二人は微笑み合った。自分への対応と雲泥の差なのが心底つまらない宮舘は、2人を睨みつけ、仕事は仕事だからちゃんとしろとぶつぶつ言いながら楽屋を出て行った。
9人グループのうち、4組が恋人同士という異常な事態。
宮舘一人があぶれていた。
実は宮舘には密かに想い人がいたのに、岩本に先を越されてしまったのだ。自分は幼なじみだからいつでも恋人になれるとどこかで鷹を括っていた。そして今や失われた過去の時間を心の底から後悔していた。そんな傷ついた心で、帰宅していた時に、件の胡散臭い花屋と遭遇したのだった。
コメント
4件
週末企画!待ってましたー!! 舘様🥹🥹❤️
michiruさんとの週末企画は推しが増えるやーつww ろくでもない出来ですが、よかったら読んでってください💙