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「あぁ…やっと見つかったんだ〜!!もうめっちゃ探したんですからね?!?!」
ぺいんとは疲れたような演技をしてこちらを笑わせている。演技が上手いくせ、なんて下手くそな演技なんだ。そう思いながらも、少し懐かしさを感じていた。
「…あのさ、早速こんな質問で悪いんだけど…。」
俺が一言そういうと、相手は「なんですか?」と笑顔のまま問うてくる。正直、こちらからしたら笑顔にはなれない質問だ。
「───どうして、盗賊団なんてやってるの?」
確かに悪を暴いてるっちゃ暴いてるし、一見いい集団だ。それでも、盗みを働いているのはいいことなんかではない。盗賊団なんかじゃなく、仕事としてやればいいのに…。そう思っているのだ。
「…どうして、かはわかりません。けど…俺は仲間を見つけたかったんです。」
ぺいんとが、少し悲しそうな顔でこちらを見る。何か事情がありそうだと、俺は察した。こういうのは無理に踏み込むべきではない。そう思い質問の話題を変えようとするが、相手は話し続けた。
「…僕らはクロノアさんを見つける作戦をしてるのは数年前から…って言いましたが、本当は数週間ほど前からです。」
「えっ…?ど、どういうこと?」
相手の言っている意味がわからなかった。数週間で見つかるもんなのか?はたまた、なぜそこまで探そうとしなかったのか?よくわからないまま、相手は話を再開する。
「実は、クロノアさんが施設から出て行った後、トラゾーが姿を消したんです。それも、僕らが盗賊団をやる少し前までずっと。」
トラ…じゃなくて、今はトラゾーか。トラゾーはどうやらぺいんと達が盗賊団をやる前に見つけたらしいが、いなくなった期間は数年ほど…と言ってもいいだろう。数年もいなければ、死んだと錯覚してもおかしくはないはず。それに、どうやって生きながらえたのか…。それを、今度はしにがみくんが説明し始めた。
「───引取先が見つかったと言いながら元の場所に返されたらしく…暴力の嵐の日々が始まったらしいです。」
「そんな…。」
そうして会話し続けて明らかにわかったことは、施設側は完全な悪側であり、トラゾーを見つける前に俺を見つけようとしたが手順が狂ってしまったこと、そうして俺を見つけるために盗賊団になり注目を浴びたこと、孤児には仕事が難しいことで盗賊団をやることになったんだと。
───でも、やめられない理由はもう一つあるらしく…
「「───どうしても楽しいんですよ。」」
2人が口を揃えて言ったのは、”楽しい”という単語。もちろん、普通なら犯罪だが悪事を暴いているおかげで警察も見逃してくれているし、逆に街が安全になってきているんだと。
まぁそのせいかはわからないけれど、色々狙われているらしい。
───でも。
「クロノアさんもやりませんか?」
その誘いは、どう答えればいいのだろうか。そりゃいいことしてる。でも盗むっていうのはまた違う気がして…。考えすぎなのかもしれない。そう思っていても、それ以上にいい回答が出てこなかった。
「…わかんない。どうすればいいか、わかんないよ…。」
困惑する2人は、俺に迷うことなく言った。
「「───嫌なら嫌でいいんです。」」