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第249話、読み終わりました! クロノスが召喚の仕組みを探ろうと、ケーシュとロフレから当時の話を聞き出す場面、じんわりきましたね。特に「逃げる場所なんて無いのにって、みんなで笑っていた」っていうロフレの言葉が胸に刺さりました。絶望の中でも笑い飛ばす強さが、かっこよかったです。 あと、クロノスが「もうためらう必要は無い」と決意を固めたシーンも好きです。ここまで積み上げてきた覚悟の重みが伝わってきました。続きが気になります!
実際に召喚をするといっても、じゃあ今すぐとはいかない。
何をするにも、それなりに準備は必要だ。国家事業ともなれば尚更である。
そこで俺は、それまでの間に問題点のおさらいをしていた。
因みに場所はミーネルが用意してくれた召喚庁の執務室。
瞼を閉じれば、あの時のミーネルのドヤ顔が浮かぶ。泣くなよ、俺。
あの時は聖堂庁の少女たちが出向して仕事をしてくれていたが、今はケーシュとロフレが行っている。
二人とも、狭き門を通って来ただけに優秀だ。大概の事務仕事は全部任せられる。
そのおかげで、考えに集中出来た。
今更だが、この世界は過去だ。非常識な話だがな。
だけど、俺はラーセットに召喚されたものの、日本に帰る事になった。俺に負けてな。その時、確かに時間は止まっていた。なら互いの世界の時間は俺の常識に囚われてなどいない。
となれば、こうして過去に戻る事だって有り得なくはないわけだ。
いや、もしかしたら――、
「ケーシュ、ロフレ」
「「何でございましょう、クロノス様」」
雑務中にもかかわらず、弾かれたように起立し直立不動のまま返事をする。
いやいいから、そう言うのは。
「ここは軍務庁じゃないんだ。呼ばれた程度でそこまで反応する必要はない」
「了解いたしました」
「では失敬して」
立つ時は一緒だが、戻る時は個性が出るな――じゃない。
「俺を召喚した時の話は聞いているか?」
「それはもう、伝説級の出来事でありますので」
「あれからまだ1年と3か月ほどだろう。伝説と呼ぶには最近過ぎるな」
「いえ、確かに今は大げさだとボクも思いますが、将来はそうなると思います」
「歴史の証人になれた事、心より光栄に思います!」
ガタン! と椅子を倒して立ち上がるが、まあ良いから座れ。
「聞きたいのは、何を媒体にして俺を召喚したかと……そうだな、期間と犠牲者の数だ」
「ボク達の様な末端の人間は、その辺りの事は何一つ教えられていません。それでも良いんですか?」
「ああ、何でもいい。当時の状況と合わせて教えてくれ」
これはもしかしたら、一番肝心なことかもしれない。
基本的に、塔と時計によって召喚された人間は、2032年の5月28日からやってくる。それは全員同じだ。
だが俺は何時から来た? それから13年後。世界があの怪物どもに蹂躙され、人類が亡びに瀕した時から来たんだ。
なら、その時代から召喚すればいいんじゃないのか?
それが可能なら話は早い。細かな説明は必要だろうが、こうして召喚と送還が出来る事。世界を滅ぼす奴らはこの世界にいる事。そして何より、それさえ倒せば地球の社会を再生できるかもしれない事を話せば、きっとかなりの人間は協力してくれるはずだ。
それでも戦いたくない奴やスキルがダメな奴、それに人間的に問題のあるやつも召喚されて来るだろう。
それに関しては――ああ、そうだ、今更だ。俺が責任を持って間引こう。
もうためらう必要は無い。
「怪物達が現れてから、1か月くらいは戦いました」
花月夜れん
2,321
柴田
425
#NL
白霧 雪乃 -FROST-
68
「ですが次第に劣勢になって、とうとう壁を突破されてしまったんです」
1か月ほどか……イェルクリオの首都、ハスマタンに比べればかなり頑張ったんだな。
まあ数が違うとはいえ、戦力も違うのだからここは素直に感心だ。
「だけど一度入られたらどうしようもなくって、抵抗できる場所に籠って戦ったんです」
「ボクの両親は、ボクを迷宮に避難させて戦いました。その時はまだ19でしたので。それに、戻った時にはもう……」
避難先に迷宮か……酷い話だが、一応セーフゾーンには町もある。大人数は無理でも、少し位なら生き延びる可能性はあるのか。あまりにも低い確率だがな。
まあどれだけ追い詰められていたのかは、来た時にすぐに分かったよ。
「その間に、召喚者をって話が軍の中でも囁かれていたのであります」
「そんな話が出るほどポピュラーな話だったのか?」
「ぼぴゅ?」
「ああっと、一般的な話だったのかって事だよ」
「召喚者は神話に登場する神様の様なものです。ボクも聞きましたけど、馬鹿な事を言っているな程度にしか思っていませんでした」
この子は結構正直者だな。
ある意味対人関係に苦労しそうだ。包み隠さずという点では、真実が何よりも欲しい俺にとってはありがたいけど。
「防衛隊はもうバラバラで、分散して戦っておりました。そこで聞いたのですが、3庁の長官とその親族は特別な場所へと退避したと聞かされました」
退避か……。
「それを聞いてどう思ったんだ?」
「逃げる場所なんて無いのにって、みんなで笑っていたであります」
この子もこの子で良い根性しているなー。
「だけど実際には、そうではなかったんですよね」
「ああ、彼等は全員生贄となる事を選んだ。大昔の文献なんていう、何の根拠もない物語にすがってな」
「でも、クロノス様は来てくださいました。そしてボクたちを救ってくださいました。この恩は、決して忘れません」