TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
シェアするシェアする
報告する

 目の前にいる私に気づかない奈々美は愚痴を始める。とても穏やかでニコニコしている彼女だが、私だと知らずなんかいつもよりも声が低くぐちぐちとした言い方。初めて見るわ。 彼女は義理の弟秋利さんの嫁になるのだが彼らの実家からやや遠い場所でアパートを借り、イベントの時に帰ってくるかそうでないかである。

 その時の彼女は取り繕ってる姿だったのか。結婚前も私料理できますわ、とおせち手作りで持ってきたけどそれだけで、結婚したらおせちなんて作ってませーん、手抜きでーすとか言ってたなぁ。


 私はカードをめくる。ああ、本当に散財。まだまだお金は減っていく一方ね。凍えて寒そうな親子のカードも出てくる。


「……彼にもともと貯金もなくて借金や奨学金返済とかあったなんて知らなかったし」

「いつ頃ご存知でしたか?」

 知ってるけど聞く。


「結婚式準備の時です。彼は交友関係が広くて……全員呼ぶ! とか言ってさ……彼の友達だけでも100人超えちゃって……」

 そうさ、覚えてるわ。あんなど広い式場、こちとら遠くまで来たのにも関わらず……当時倫太郎もまだ小さくてやんちゃでわがままで。

 友達ファーストな結婚式だったからすっごい退屈した倫太郎が小鳥遊家親戚のテーブルクロスを思いっきり引っ張って大変な思いしたのよね。

 それにもかかわらず友達メインの演出で親戚、義父母たちがため息ついて文句ばかり帰りの車の中で聞かされたっけ。


「私は貯金をしっかりしてたけどその時に彼が貯金がない、借金だらけというのを知ったのです……入籍後、式場予約した後で」

「あらあら、大変でしたわね……」

「ほんとーに、私貯金しておいてよかった! と思ったけどそうすぐ出してたまるかと思って、あんたの実家に頭下げてお金借りてこいって初めて怒っちゃったー」

 ……うわ、そんな言葉使いする子だとは知らなかった。いつも潮らしい気持ち悪い笑顔で内心腹立ってたのよ。


 それにその場面を知ってる。義父の前で秋利さんと奈々美さんが頭を下げてる場面を見たのよ。珍しく実家に来たと思ったら……お金かよって。


 てか結婚式の資金だなんてうちらの時には貰ってないんですけど。

 しかもケチの夏彦のせいで何でもかんでもケチって陰でケチケチ結婚式とかいわれてたんだから。はぁ。カビ臭い汚い小さな集会場みたいなところでさぁ。はぁ。


 着物だって義父母たちが着たものだとかで……あー、イライラしてくる!!!


「で、しばらくも義父さんから秋利さんはお金をもらってて……」


 ……それも知ってる。何かあるにつれて普段は私たちに義父母の世話を押し付けてるこの夫婦が来たらお金がなくなった、ということなの。


 それは知ってるし夏彦は自分は貰ってないのに……(もらいたいところだが長男のプライドとして出来ないらしい、よくわからんけど)ってキリキリ奥歯噛んでたわ。


 ぐぬぬぬぬっ。

 私はまたカードをめくる。



占い師キョウコの企み

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

23

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚