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猫と鍵

3 - 第3話 二人の話

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2025年11月19日

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 凛が着ていたダウンを脱ぎ、近くに丸めて置いた。

 そして、茶碗にある緑茶を一口すすると紀彦が口を開いた。

「確かあの鍵だよね?まあ少し、調べたのだがあの鍵、作者名が彫られていた。普通、鍵には作った工房の名が記されることが多いがこれは人の名前。名は「エドワード・ウオール」イギリス人の鍵職人。まあ多くの人に知られているかと言われればそうでもないんだけど才能はあった。まあ詳しくは知らないけど。妻に自分で鍵を作ったという話もある」

「へ〜よく知ってるねおじいちゃん」

「うん。まあ人伝だけどな。ここの常連の畑野喜美子(はたのきみこ)さんって人が教えてくれたんだ」

「畑野喜美子さん?」

「ああ。もっと知りたければこっちから聞いてみようか?」

「ほんと!?」

「ああ。凛ちゃんもいいかい?」

「ああはい」

 それから凛は骨董品屋を出て自宅へ帰った。自宅へ帰ってから凛は塾の宿題をこなした。それから今日聞いた話をまとめ、勉強机にメモ用紙をしまった。



 日曜日。凛と彩は紀彦の骨董品屋にいた。このあと、畑野喜美子さんの自宅にお邪魔し、話を聞く予定なのだ。

 二人は紀彦の運転する車に乗り、畑野喜美子さんの自宅へ向かった。車で約1時間ほどのところで田舎という雰囲気のある場所だった。

「さあ着いた」紀彦が車を停めたところには古びたアパートがあった。

 〈クマハラアパート〉と大きく書かれた看板が目立つ。二人はそのアパートの二階へ上がった。階段は一段登るたびにミシミシとなる随分と古いものだと感じた。

 201とかかれた部屋を紀彦は二回ほどノックした。すると、中から70代ほどの白髪の女性が出てきた。彼女は左足を引きずっている様子があった。おそらくこの女性が畑野喜美子さんだろう。畑野はしわくちゃの顔を更にしわくちゃにして三人を家へ招き入れた。

 家は広くもなく狭くもなく。だが、家にある台所や棚などの家具は随分と年季が入っていた。

「どうぞお座りください」畑野は居間にあるちゃぶ台の周りに三人を座らせた。

「ごめんなさいね。足を悪くしていてお茶を出せないの」と話すと畑野は部屋の隅にあるベットに腰掛けた。

「それで、話というのは?」畑野はそう二人に訊いた。

「ええ。実はこの子供らが鍵を拾ったんです。その鍵にエドワード・ウォールと彫られていたのでなにか知っているかと。現物はないんで写真をお見せしますね」紀彦が簡潔に今回のことを説明するとポケットからスマホを取り出し、鍵の写真を見せた。

「…!これは紛れもなくエドワード氏のものよ…!凄い…こんな物があるなんて」畑野は感極まった様子でそう話した。

「その彼のことを教えてくださいませんか?」紀彦が訊いた。

「ええ。もちろんいいわ。エドワード氏は町の小さな鍵工房「baritonn・Key・Workshop」に勤めていた。彼はものづくりがとても好きで子供の頃からおもちゃを分解してはまた作ったりを繰り返していたの。その鍵工房の中でも彼は素晴らしい才能を持っていた。そのため、工房内でもとても期待され大半の仕事をエドワード氏がこなしていた。そんな中、鍵工房に度々訪れていたオリビア・テイラーと結婚するの。雪のように白い肌、長く艷やかな髪を持ち合わせた美貌に惚れたのよ。まだ20代後半だったらしいからね。そして、オリビアは自分が子供を産めないことをエドワード氏に言うの。すると、エドワード氏の返答は意外なものだったの。じゃあいっぱい君のことを見ていられる。その言葉にオリビアも惚れ直したでしょう。そしてその後、エドワード氏はとあることを提案したの。それは二人で鍵を作ること。まあ子代わりというのかしら共通の好み事であった鍵を利用したの。その鍵のデザインはオリビア。鍵を作るのはエドワード氏がやることになったの。その鍵はきっとそのときの。でもそれは未完成と言われているの。その理由は鍵作成時の話に戻るわ。エドワード氏が鍵を作成する際、とてもこだわった。子代わりとも言える鍵を作るからね。当然でしょう。すべて純金。そして持ち手には真珠を埋め込む事。もちろん費用は自腹よ。でもその鍵の作成時、エドワード氏は体調を崩し、入院になってしまう。工房の仕事もあったからねきっとかなりの負担だったんだと思うの。だが、彼なりの気持ちがあってか早期に回復したのよ。それからまだ未完成だった鍵の制作へ移ろうとするとオリビアが止めたの。まだ休んでいたほうがいいって言ったのよ。そして約3ヶ月ほど経ってから制作を開始したの。でもその時、悲劇が起こるのオリビアが不慮の事故で命を落としてしまう。まさかのことに現実を受け止めきれなかったエドワード氏はまだ未完成だった鍵を川に放り投げたの。精神が不安定だんでしょうね。それから約10年後、彼は自殺したの。当時の報道によれば入浴中に溺死なんて言われてる。その近くには粉々になった紙のようなものがあったそう。でもこの事件を調べようとすると、大半の記事がイギリスで作成されたものだから英文なのよ。だからまあなかなか情報は手に入らないわね」と畑野が話を終えると静かにしていた彩が口を開いた。

「その自殺の原因は一体…?」

「それは分かってない。どの記事調べても見つからないのよ」

「なるほど……」彩はそう呟くとすぐに黙り込んでしまった。

 そして、三人は畑野に礼を言うとアパートを後にした。

 車に乗り込んだ凛は移動中、小さめの束になったメモ紙を1ページ開き今回聞いたことをまとめた。

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 それから紀彦の気遣いで凛は自宅近くまで送ってもらった。

 自宅へ帰り、凛は自分の部屋にこもりパソコンで例のエドワード氏の自殺について調べてみた。

 しかし、あまり該当の記事はない。凛は一つ、エドワード氏についての記事を見つけたためそれを読んでみることにした。

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 しかし、全て英文で英語の知識のない凛は読むことができなかった。

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