テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
今日は12月25日。武装探偵社に、静かなクリスマスが訪れる——
はずだった。
「なんで爆音クリスマスソング流れてるんですか!?」
ドアを開けた瞬間、敦は思わず叫んだ。
事務所では太宰がサンタ帽を被り、スピーカーの前で謎のダンスを披露している。
「テンションは高ければ高いほどいいんだよ敦くん!ほら、メリー自殺未遂!」
「クリスマスに縁起でもないこと言わないでください!!」
「相変わらず太宰さんは元気だな……」
谷崎潤一郎が頭を抱える横で、ナオミはツリーの飾りを持ちながら満面の笑み。
「お兄様、これナオミが飾ってあげますわね♡」
「い、いいから少し離れて……!」
「これも飾ったらどうですか?牛の模型です」
宮沢賢治は鹿の角カチューシャを装着し、やたら楽しそうだ。
「クリスマスツリーに牛の模型は違うだろ。トナカイにしとけ」
国木田のツッコミが今日一日で何度目か分からない。
その時、静かに障子が開いた。
「……さんた、とは、ころす、ひと?」
鏡花が真顔で尋ねる。
「違う違う違う!!」
敦が即座にフォローする。
「サンタさんはそんな物騒な人じゃないよ。プレゼントくれる人」
「……なら、ころさない」
「うん!絶対殺さない!!」
ほっとした空気も束の間。
「そんなことより敦。怪我人はいないの?」
与謝野晶子が巨大な包みを抱えて現れた。
「……それ、プレゼントですか?」
「治療器具をクリスマス仕様にした」
「いた!物騒なサンタさんここにいた!」
乱歩は既にケーキを独占し、指を舐めながら言う。
「このケーキ美味しー。社長も食べなよ」
「1切れだけ貰う」
「1切れでかいけど…いいよ〜」
「国木田くん、プレゼント交換しようよ!」
太宰が巨大な箱を差し出す。
「嫌な予感しかしないが……」
箱を開けると、中から大量の自殺マニュアル(全部赤いリボン付き)。
「太宰サンタからのクリスマスプレゼント〜これで何時でも楽に心中出来るよ!」
「全員没収だぁぁぁ!!」
国木田の怒号が事務所に響き渡る。
その横で、鏡花が小さな箱を敦に差し出す。
「……あつし。これ」
「え?ありがとう!」
中身は折り紙で作った小さな虎。
敦は一瞬で浄化された。
「宝物にするね……!」
「……よかった」
夜になり、事務所はぐちゃぐちゃ。
床には包装紙、ケーキの箱、鹿の角。
社長はその光景を見渡し、静かに一言。
「……平和だな」
「どこがですか!!!」
国木田のツッコミと共に、武装探偵社の
騒がしすぎるクリスマスは幕を閉じた。