テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
一連のやり取りを聞いた茜は身を乗り出して信愛に問いかける。
「ならさ信愛?そのカルネアデスバスは
明日現れる可能性が高いってことになるの?」
茜の問いかけに、信愛は少し考えてから答えた。
「まあ、確証はないけど25年前と
同じ日に現れる可能性はあるかな」
それを聞いたさくらは、迷うことなく口を開く。
「なら明日探さなきゃね♬」
「え?探すの?」
信愛が驚いて聞き返すと、さくらは当然とばかりに胸を張った。
「当たり前じゃん!『探求』倶楽部だよ?」
「いや、深夜は無理でしょ?
仮に探しに行くとして親になんて言うつもり?」
信愛は呆れたように言った。
「あ、そっか。そうだった・・・」
茜があっさりと納得すると、朝陽も現実的な問題を指摘する。
「さすがに高校生だけで深夜徘徊するなんて
許してくれないでしょうしね」
「補導される危険性もあるしな」
焔垂も続ける。
「そうだよね・・・」
さくらが肩を落とす。
「はぁ〜・・・自分の年齢が憎い」
茜もがっくりとうなだれた。
その様子を見ていた龍河が、ふっと口元を緩める。
「そんな顔しなくていい」
一同の視線が龍河へ集まった。
「君たちには有益な情報を貰ったからな
記事にする前にちゃんと教えるから」
「本当ですか!?」
信愛の表情が一気に明るくなる。
「ああ。俺だって人の子だからな
義理はキチンと通すさ」
「よかったじゃん、茜♬」
「まあ仕方ないか・・・」
茜は少し不満そうではあったものの、渋々納得したようだった。
だが、そんな生徒たちのやり取りを見ていた顧問の美月だけは、どこか険しい表情を浮かべていた。
「分かってると思うけどね?
間違っても探しに行こうなんて
考えちゃダメだからね?」
「分かってます。大丈夫ですから」
信愛はすぐに答える。
しかし、美月の不安は消えない。
「ただでさえこの前の霊貴冥孤の一件で
親御さんたちには迷惑かけてるし」
そこで一度言葉を切ると、生徒たち一人一人の顔を見渡した。
「貴方達の身に何かあったらって考えたら──」
「分かってるってば♬」
茜が少し面倒そうに口を挟む。
「フリじゃないからね?」
美月は念を押すように言った。
「本当に頼むわよ?ここは大人しく
プロに任せること!分かった?」
「はぁ〜い♬」
さくらの気の抜けた返事が響く。
「本当に分かってんのかしら・・・」
美月は茜とさくらの軽い返事に不安を抱いたまま、頭を抱えた。
そんな彼女を横目に、信愛は龍河へ向き直る。
「じゃあ馬場さん・・よろしくお願いします」
「ああ・・任しといてくれ」
龍河はそう答えると、静かに頷いた。
◇ ◇ ◇
翌日。終業式を終えた一同は、いつもの部室に集まり、何事もなく談笑していた。
そんな中、信愛がふと口を開く。
「今日だね・・・馬場さんの調査」
「本当に来るんでしょうか?カルネアデスバスなんて」
朝陽が半信半疑といった様子で尋ねる。
「どうだろうね・・・」
信愛にも、そればかりは分からなかった。
すると焔垂が、昨日の話を思い返しながら口を挟む。
「白縫さんが言う様に、25年前の今日が運転手の
四十九日だとしたら、来る可能性は高いよな」
「あーあ。見てみたかったな~カルネアデスバス」
さくらが心底残念そうに呟く。
そんな中、茜がふいに皆へ声をかけた。
「あのさ・・・みんな?」
その顔には、何やら不敵な笑みが浮かんでいた。
「なに?その意味ありげな笑い」
信愛が怪訝そうに茜を見る。
「信愛って確か、馬場さんから25年前にバスが
目撃された場所を教えてもらったんだよね?」
「うん聞いたよ」
「あ、そうだったの?」
さくらが今さら思い出したように声を上げる。
「色んなツテを使って何とか特定したんだって」
信愛の言葉を聞いた茜の笑みが、さらに深くなる。
「だったらさ、そこに行けば
馬場さんに会えるって事だよね?」
「会えるって・・・」
目を瞬かせる茜を信愛は嫌な予感を覚えたように見る。
「まさか茜・・・行くつもり?」
すると茜は、さも当然のように答えた。
「何で私だけ行くみたいに言ってんの?
みんなで行くんだよ」
「はぁ?みんな?」
信愛が思わず声を上げる。
「お前な・・・」
焔垂も呆れたように茜を見る。
「大丈夫ですか?」
朝陽も心配そうな表情を浮かべた。
「美月先生も僕らの事を心配してるからこそ
プロに任せるって言ったんだと思いますし」
「朝陽くんの言う通りだよ」
信愛もすぐに同意する。
だが、茜はまったく引く様子を見せない。
「だって気になるじゃん」
「そりゃ気にならないって言ったら
嘘になっちゃうけどさ」
さくらも困ったように苦笑する。
そこで茜は、待ってましたと言わんばかりに皆を見渡した。
「私に考えがあるの」
「考え?」
信愛が眉をひそめる。
茜は自信ありげな笑みを浮かべたまま、ゆっくりと口を開いた。
「私たちが──」
コメント
1件
終わった直後の高揚感がまだ冷めやらないです……!美月先生の不安そうな表情と、茜の「考えがある」笑顔のギャップがたまらなくて、ああこれは絶対無茶するやつだって思わずにやけちゃいました(笑)。25年前と同じ日に現れるかもしれないっていう“かもしれない”に飛びつく高校生たちの衝動が、すごくリアルで胸がきゅっとなります。次、どうなっちゃうんだろう……。