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クム
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#狂愛
柏木さくら
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翌朝。
陸はスマホを握ったまま、ベッドの上に座っていた。
昨日、17番から届いたメッセージ。
【辞めるなら、早いほうがいい】
【でも、もう遅いかもしれない】
何度見ても意味が分からない。
それより気になるのは。
17番が、なぜ自分に連絡できたのか。
陸は恐る恐る、昨日のアカウントを開いた。
プロフィールには何もない。
名前もない。
アイコンすらない。
ただ、メッセージだけが残っている。
「……誰なんだよ」
返信を打とうとした。
でも。
指が止まった。
もし返したら。
また何かが始まる気がした。
そのとき。
スマホが震えた。
【23番】
陸の心臓が跳ねる。
【本日の案件について】
「……またかよ」
開く。
【本日、参加者の一部に確認を行います】
その下に。
【辞退者を含みます】
陸は眉をひそめた。
辞退者。
自分のことだ。
続いて。
【指定された時間に、連絡を確認してください】
それだけだった。
「確認って……何を?」
答えは来ない。
陸はスマホを机に置いた。
もう関わりたくない。
そう思っているのに。
気になって仕方がない。
昼過ぎ。
再び通知が来た。
【23番】
【現在の参加者数は3名です】
陸は画面を見つめた。
3名。
以前はもっといた。
8番。
11番。
14番。
17番。
21番。
そして自分。
いつの間にか。
ほとんど残っていない。
その直後。
【辞退者は1名です】
陸の喉が鳴った。
自分だけ。
そう思った。
けれど。
次のメッセージを見て。
手が止まった。
【辞退者は、参加者として扱われます】
「……は?」
意味が分からない。
辞めたのに。
参加者。
矛盾している。
陸は画面をスクロールした。
その下に、小さく続きがあった。
【参加者として扱われる期間は、運営側が判断します】
「ふざけんな……」
初めて。
怒りが恐怖を上回った。
陸はメッセージ欄を開く。
【もう辞めたって言いましたよね】
送信。
既読。
【はい】
すぐに返ってきた。
【では、なぜ参加者扱いなんですか?】
既読。
しばらく返信がない。
一分。
二分。
五分。
そして。
【あなたが参加者だったからです】
陸はスマホを握りしめた。
「だったから……?」
過去形。
なのに。
今も参加者。
意味が分からない。
陸はもう一度、入力した。
【17番も?】
送信。
今度は。
すぐに返信が来た。
【17番については回答できません】
やっぱり。
17番は何かを知っている。
陸は画面を見つめた。
そのとき。
別の通知が届いた。
昨日と同じ、名前のないアカウント。
17番だった。
【運営に聞かないほうがいい】
陸は息を呑む。
続いて。
【聞けば、あなたが何を知っているか確認される】
「……何を知ってるんだよ」
陸は思わず声に出した。
すると。
また一通。
【知らないほうがいい】
それは。
以前、17番自身が言った言葉だった。
陸はスマホを伏せた。
怖い。
でも。
もう一つ、気づいてしまった。
17番は。
ずっと逃げているんじゃない。
ずっと――
この仕組みを見ている。
参加者が増えて。
減って。
辞退して。
また誰かが入ってくる。
その繰り返しを。
17番は知っている。
だから。
自分に言った。
【辞めるなら、早いほうがいい】
陸はスマホを見つめたまま、呟いた。
「……俺も、まだ間に合うのか?」
その瞬間。
画面が光った。
【23番】
【次の参加者が登録されました】
陸は固まった。
そして。
表示された番号を見て。
息を止めた。
【参加者番号17】
コメント
1件
陸が辞めたはずなのに「参加者として扱われる」って、あの運営の理屈、すごく不気味でしたね。「辞退者は参加者として扱われます」って矛盾してるのに圧があって…最後の新参加者が17番で固まりました。17番はずっと逃げてたんじゃなくて仕組みを見てたんだ、っていう陸の気づき、ここに来て効いてきましたね。るしゅさんのこのじわじわ来る空気の作り方、好きです。続きが気になります。