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「……うーん、ここ、どこかしら?」
気がつくと、私は豪華な天蓋付きのベッドに横たわっていた。
確か、新作のバズり動画を編集しながら横断歩道を渡っていて……。
「あ、トラック! 通らなきゃ!」と思った瞬間に意識が途絶えた気がする。
ふと横にある鏡を覗き込むと、そこには銀髪紫眼の、絶世の美少女が映っていた。
乙女ゲーム『聖なる乙女の恋物語』の悪役令嬢、リリアーナ・ヴァン・アデール。
……え、私、転生しちゃった?
「待って、リリアーナって最後は処刑されるキャラじゃない。ヤバい……マジでヤバ……」
震える手で鏡に触れた瞬間、鏡の表面がピカッと光った。
画面に現れたのは、見慣れたアイコンたち。
『カメラ』『配信アプリ』『SNS』。
「……え、鏡がスマホになってる!? 魔法!? これ、魔法なの!?」
絶望は一瞬で吹き飛んだ。
この美貌、このドレス、そしてこの『鏡スマホ』。
これさえあれば、前世で叶わなかった「登録者数一億人」も夢じゃない!
「よし、まずは学園の裏側突撃ライブから……」
意気揚々と作戦を練っていたその時。
窓の鍵が静かに外れ、黒い影が部屋に滑り込んできた。
月明かりに照らされたのは、漆黒の装束に身を包んだ一人の少年。
その手には、冷たく光る鋭利なナイフが握られている。
「……リリアーナ・ヴァン・アデール。恨みはないが、死んでもらう」
彼の名はゼノ。王太子から遣わされた、王国一の若き暗殺者だ。
……普通ならここで悲鳴を上げるところだけど。
私の目には、彼の**「動き」**しか映っていなかった。
「ちょっと待って! 今の入室シーン、100点満点!!」
「……は?」
ゼノが呆気に取られた隙に、私は鏡を構えて彼に詰め寄った。
「その足音の消し方、カメラの死角を完璧に突いた動き! 素晴らしいわ! 君、名前は? フリーランス? それとも事務所所属?」
「……殺し屋だと言っている。今からお前を――」
「あー、設定も作り込んでるのね! ミステリアスな殺し屋キャラ、受けると思うわ! 決めたわ、君、私の専属カメラマンに採用!」
「……正気か? 俺は今、お前の喉元にナイフを……」
「そのナイフ、三脚代わりに使える? あ、ちょっと横向いて。そう、その角度! 影の入り方が最高! 画角の天才ね!」
私はゼノの腕を強引に掴み、鏡を持たせた。
殺気立っていた少年の瞳が、困惑に揺れる。
「さあゼノ君! 初仕事よ。明日の学園登校から、私の『映え』を逃さず撮り続けてね。断ったら……そうね、私のチャンネルで君の素顔を全世界に晒しちゃうから!」
「…………」
こうして、最強の暗殺者は、最強のカメラマン(兼ボディーガード)として私の下僕になったのである。
リリアーナ・チャンネル、いよいよ配信開始よ!