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「はい、カットー!!」
「お疲れ様でしたー!」
「ありがとうございました!またよろしくお願いしまーす!」
いつものように、撮影を終え、マネージャーの車で家へ向かう。
「今日のカメラマンの吉川さんに気に入ってもらえたら、仕事も増えるから。機嫌損ねないようにね!明日も×××の雑誌撮影で、カメラマンは、鈴木さんだから。こちらも。顔が広い方だから。よろしく頼むよ?」
「分かりました…….」
家に着くと、リビングに入るなり、荷物放り出し、ソファーへダイブする。
ふとテレビ横に飾られた写真に目が行く。
ある男の子と、楽しく笑う私と、その男の子が撮ってくれた私の写真。
「……今頃何してるかなぁ…」
その子はカメラが好きで、いつもカメラを持ってた。
会えるのは、夕方の公園。
だけど、ある日を境に会えなくなった。
その子が来なくなった。
私は、その子に会えるかもという思いで、モデルの仕事をするようになった。けど、中々パッとしない……
しまいには、カメラマンや、ディレクターさん、出版社の人に、媚びを売るようにと事務所にも言われる始末。
正直、若者が見るような雑誌でもないし、雑誌自体もそんな売れてるようなものじゃなく、コアな人が買うようなものだし。
カメラマンとか、ディレクターさんも、お腹が出た丸っこい脂ぎったような、それに近いようなおじさんだ。
私は、コスプレみたいな格好をし、たまに恥かしいポーズを要求されることもある。
それが、雑誌に載るわけではない。
ほんと、おっさんの興味本位でさせられてるようなもの。
正直、気持ち悪い。
けど、それで事務所はなんとか持ってるとの事。
事務所も最初はよかった。けど、社長が変わってから、どんどんおかしくなってきた。
いかがわしい仕事も増えてる。
だからか、新人が来てもすぐやめて行く。
私は何とかいかがわしい仕事は避けてる。
「はぁー。もうご飯はいいや。シャワー浴びて寝よう」
明日仕事終われば、2連休だ。
連休に実家に帰るついでに、久しぶりに、あの公園に行ってみようと思ってる。