テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
風が吹き通るこの場所
私は今
屋上のフェンスの外側に立っている
これで、これで終わるんだ
何もかも、
寂しいことも
苦しいことも
辛いことも
全て全て。
ただ、一つだけ気がかりなことがある
私の親友
藤風 美百合(ふじかぜ みゆり)
先日大喧嘩をしてしまった
喧嘩したまま消えるのは如何なものかと思ったが
私はもう耐えられない
『…ごめんね…、みゆ…』
私はそう言い残して立っていた足を___
第一章後悔
家へと続く道。
夕暮れに染まる街
いつも一緒に帰る親友はもういない
私が傷つけた
私は気づけなかった
「まだ…仲直りしてないのに………」
誰にも届かない声を夕暮れの道に発する
泣きそうで
辛そうで
なんとも醜い声を
だが、どれだけ私が辛くても、泣きそうでも
彼女の痛みには敵わない
彼女は戻ってこない
永遠に
それでも一人、足取り重く踏み進める
いつもは短く感じる坂道も
今日はなんだか長く感じる
こんなことを話したなって
走馬灯のように頭の中を駆け巡る
居ても経ってもいられなくなった私は
彼女が好きだった夕暮れの海へ走り出す
塀を乗り越え
靴を脱ぎ
裸足で珊瑚礁の地面を駆け抜ける
端まで着き私は思いっきり靴を投げ捨てた
それと同時に信じられないほど大きな声が私の口
から発せられていた
ここまで大声を出したのは初めてだっただろう
私は俯き、目からは次々と零れ落ちる雫
夕日に照らされ雫も赤く、茜色に見えた
制服のスカートの裾を思いっきり握る
悔しさと後悔で胸が張り裂けそうだ
足元に落ちている石を拾っては自分の足へ投げつける
これは信じられない行動だろう
だがそれほどまでに自分が憎かった
自分が嫌いだった
彼女を救えなかった自分が___
私は声が枯れるまで泣いた
叫ぶように
悲しみと悔しさをぶつけるように
濁音の声を発しながら
人はこれほど泣けるのかというほど泣いた
内に溜めていた何かが溢れ出して止まらない
「風花っ…風花ぁあ”ぁっ……!」
私は何度も彼女の名前を呼んだ
そうだ、彼女の名は
佐々木 風花(ささき ふうか)
笑顔が眩しく、演技が大好きだった私の親友
なんでこんなことに…、??
なんで…
なんで………
次々と溢れ出る思いと雫、なんで?という疑問
私の頭はパンクしそうなほど感情が爆発していた
もう真っ黒のようだ
声が枯れて叫べなくなった私
あれから何時間経っただろう
もう満潮に近い
海水の塩水が私の血だらけの足を流す
とても痛い
痛くて痛くて、
でも、風花はこんな痛みではなかったはずだ
足がどれだけボロボロでも
石でぶつけても
珊瑚礁で切っても
塩水で痛くなっても
声が枯れても
風花は帰ってこない
私の大好きで大切な親友は、
もう笑ってくれない
私は空を仰いだ
上を向き星空を眺める
綺麗だ、
なんとも言えない言葉という名の思いが溢れ出そうになる
「帰らなくちゃ…」
私は傷ついた足を無理やり動かし、帰路に付く
群青の空の中に無数の星が輝く
なんとも幻想的である
この思いとは裏腹に___
第二章あの日まで
リビング、
自分の部屋
ずっと一人のように感じる
お母さんが話しかけてきても聞こえないフリ
今は__誰とも話したくないから
部屋の戸を閉め
ベッドに寝転がり
暗がりの中一人スマホを触る
二人の思い出を辿りながら
あんなことをしたな、
あんなことを話したな、
一緒に笑ったな、
思い出すたびに思いが込み上げてくる
「もう一度…話したいな……」
なんて、叶わない醜い願いなのだろう
この願いは、風花のためなのか
それとも私のためなのか、
…恐らく私のためなのだろう
私の悔やみを、後悔を晴らしたいだけなのだろう
風花のことを何も考えていない
実に醜く、皮肉なものだ
そんな事を考えながら
私は暗がりの中一人眠りにつくのであった
朝__
雀の鳴き声が響き私は目が覚める
実に心地の良い目覚め……
と思いたかった
朝になってもいくら時間が経っても
罪悪感も悔しさも、後悔も
何も消えない、何も忘れられない
私からしたら実に黒い闇の朝である
学校の鐘が鳴り私はまた夕日の帰路に付く
今朝もお母さんを無視してしまった
最低最悪な娘である
自分を非難しながら、
いつもは行かない、廃商店街へ
ここは治安が悪いと有名だ
ここで…風花のところへ__
なんて、風花が望まない様なことを考えた
私はあの日の風花と同じように……
__なんて考えていたらお婆さんに話しかけられた
《お嬢さん、どちらへ…?》
私は無表情のまま
「親友の、元へ…、」
お婆さんは渋い顔をした
何かを察したのだろう
《…願いは?》
「え…、?」
願いなんて、
一つしかない
「…風花に…、もう一度会いたい」
「会って…謝りたいっ…、」
「会って…今度は救いたいっ…!」
そう、私が強く言うと
お婆さんはニコリと笑った
嬉しかった
私の思いが伝わったのだと思った
《それなら、時を戻したら良いのです》
「え?」
私は思わず目を見開き、戸惑いの声を漏らした
そんなことができるのか?
信用できるのか?
初対面なのに
いや、そもそもありえない話だ
漫画やアニメの中の話ならよく見たことがある
“タイムスリップ”
過去に戻ったり未来に移動することができる
本当にそんなことできるのか?
あり得るのか?
「…できるの…?」
私はごく普通の質問をした
ただお婆さんから返ってきた言葉は
《もちろん》
だった
信じられない
そんなことがあり得るのか
《…過去に行きたいのかい?》
「…はい」
私から出た答えは一つしかなかった
信用はできない
でも、………
これ以外に道はない、と思った
怪しくても
信用できなくても
もし、もし…
もう一度風花に会うことができるのならば
私は…
君を救うことを諦めない
必ず助ける
こんな未来にはしない
そう決意し、過去へ__
「」=藤風 美百合(ふじかぜ みゆり)
『』=佐々木 風花(ささき ふうか)
《》=謎のお婆さん
設定
名前:藤風美百合
性別:女
性格:優しい、友達思い、明るい
年齢:高2
その他:クラスの人気者
名前:佐々木風花
性別:女
性格:少し明るい、優しい
年齢:高2
その他:演技が得意で好き、病気持ち
※イラストはイメージ画です!
次回:転生アカウントで公開
この垢最後のストーリーでした…!
やっぱり出しちゃいましたw
結構うまくできたと思う…!
大丈夫!最後はハッピーエンドなんで!w
まあ、転生垢でも読んでくれたら嬉しいな♪
次回もお楽しみに!(#^^#)♪
コメント
18件
何このストーリー、、天才すぎる! 天才すぎるよ!せいら!
天才👏
凄い上手...!