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第五章: 「選択の重さ」
私が仮説を立ててから、ステラの苦しみは一層深まったように思えた。彼女が持つ力には、確かに神秘的で計り知れない部分がある。しかし、それが彼女に与えられた理由が「選択」を試すものであったならば、その選択を迫られることこそが、彼女の本当の苦しみだったのだ。
ステラは、私に対して再び言った。
「ローレンス、私は何も選べません。すべてが私の手の中で歪み、崩れていく…」
その言葉は、私の心を強く打った。彼女は無力ではなく、むしろその力を持っているがゆえに、あらゆる選択が彼女にとって「重すぎる」ものとなり、その選択を避けようとすることでかえって深い孤独と絶望に沈んでいた。
私は彼女に言った。「ステラ、あなたの選択が間違っていることなんてない。ただ、あなたは一人でその重荷を背負い過ぎているだけだ。あなたには私がいるし、他にも助けを求めることはできる。私はあなたと共に、選択を支えたい。」
しかし、ステラは静かに首を横に振った。
「私は…私にはそんな資格がありません。私が与える救いが、もしも間違っていたら…それがすべてを台無しにしてしまう。」
私はその言葉の裏にある深い恐れを理解した。ステラの力はただの力ではなく、存在そのものに影響を与えるものであり、ほんの一瞬の判断ミスが全てを壊す可能性を秘めていたのだ。
そして、私は決心した。彼女にとっての救いが何であるか、私なりに考えようと。
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