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第六章: 「選ばれし者の孤独」
私はステラの言葉に重く押しつぶされそうだった。彼女は、自分の力がどれほど恐ろしいものであるかを痛感していた。そして、その力を使うことで誰かを傷つけてしまうのではないかという恐怖が、彼女をさらに孤立させていた。
だが、私はどうしても彼女を諦めたくなかった。
「ステラ、君が間違いを犯すことを恐れるのは当然だ。でも、それは君が善悪を考え、誰かのために悩んでいるからだ。君にはその力を使うことができる。ただ、君がその選択に向き合うために支えが必要なんだ。」
彼女の目は、私の言葉に少しだけ揺らいだ。だが、すぐにその目が冷たくなり、再び力なき悲しみに沈んでいった。
「ローレンス、私は…私はもう、誰かを救うことなんてできません。私が力を使ったとしても、それがどれほど悲しい結末を迎えるか分かっているから。」
彼女の声は震えていた。それは力を使うことに対する恐れだけではなく、自分の存在そのものを無に帰すような恐怖だった。
その時、私はある仮説に気づいた。それは、ステラが「選択」に悩んでいる理由が、単なる力の危険性だけではないということだ。彼女の力が他者に与える影響を恐れるのは、実は彼女自身が「誰かを救うことで、その人を犠牲にしてしまうのではないか」という不安を抱えていたからだ。
ステラは、他人の命を背負うことができないと感じていた。彼女の力があまりにも大きく、その影響があまりにも深いため、何を選んでも、何かを犠牲にしてしまうのではないかと恐れていた。
私は再び彼女に手を差し伸べることを決意した。
「ステラ、君は間違いなく救える。ただ、君が思うほどの力が君に与えられた理由があるんだ。それを理解してほしい。」
ステラは私の目をじっと見つめ、涙をこらえていた。
「でも…私は、その力が無意味に人を傷つけることを恐れているんです。私がその力を使うことで、逆に他の人が苦しむのではないかと…。それが私の恐怖です。」