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両親への嘘の説明として、私は生きているが珍しい病に罹ったせいで人が近くにいるとすぐ感染させるから会えないと、メールを通して伝えることに決まった。
8時〜15時は義務教育の内容を学習し、15時半〜17半時はマタールナの性質の研究の仕事をするという日々になる予定だ。
そして今から、マタールナを知っていて教員免許を持った人に中学の勉強を教わる。
(教師と一対一の状況である個別指導で勉強をするのは今までなかったから、なんか緊張するな…)
指定された部屋に入ると、向かい合った机と椅子が置いてあり、壁にはホワイトボードがある。
青い髪をオールバックでひとつ結びにした、黄金色の目の男性がいた。
「これより貴殿に義務教育となる学問を教える、伊勢或斗と申す。」
「はじめまして、紙塔來雨です。…よろしくお願いします。」
「自慢ではならねど、貴殿が軍艦島で蛇手けせら殿と戦闘をしておった際に背後から光線を発射し気絶させたのは我なり。」
「……!あのときにもう1人いたことは全く気づかなかったです。」
席に座って、机に筆箱を置きノートを開く。
「1時間目は数学を教えるが、まずどの限りまで習ったのであろうか?」
「1次関数で、2つある直線の交点の座標を求めるところまでですね。」
「では、1次関数を使いし面積の変化する長方形の求め方をやりゆく。」
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授業は1時間ごとに休憩時間を、正午には昼食を挟んで行われた。
「これにて本日の授業は終了だ。」
「……授業とはあまり関係ないことで質問したいんですが、良いでしょうか?」
「勿論構わない。」
「マタールナの存在を認知してる国ってどのくらいありますか?」
「月面着陸したことで存在を知ったのは、アメリカ合衆国·インド共和国·ソビエト連邦·中華人民共和国·日本である。しかし、情報漏洩などで欧州の一部の国々も知ったであろう。」
(よく今まで一般人全体に認知されずに済んだな。)
「そうですか……、ありがとうごさいました。」
部屋から出て渡り廊下を歩き、マタールナを研究する為の棟に着く。
紫髪の男性……蛇手けせらが待っていた。
「紙塔、アンタは本来なら仕事をしてええ年齢やないからバイト程度の雑用をしてもらうで。」
「了解です。」
「まずはこの施設の案内をするから、何がどこにあるのか覚えや。地図もあげるで、無くさないようにしたってや。」
蛇手けせらに着いていき、施設の構造を確認してメモをとる。
その後は仕事の内容の説明をされた。
実験は主に蛇手けせらなどの職員がする為、私は実験に必要な物を取ってきたり準備をするだけだ。
この仕事は働いて給料を貰うというより、元々食事や寝床を私に用意してくれているからその埋め合わせとして雑用をしている感じである。