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食堂で夕食を取った後、自室に帰った。
自室は布団と机などがある部屋、脱衣所兼手洗い場、ユニットバスの3つの部屋がある。
その内監視カメラがあるのは、廊下と繋がっていて布団と机などのある部屋のみだ。
悪事と表現する程のことではないがやらかして非行をしたことのある私が、また何か企む可能性があるから監視カメラがまだついているのだろう。
流石にプライバシー配慮の為に、脱衣所兼手洗い場とユニットバスにはそれらしき物は無い。
歯磨きをし、狭い浴槽に湯を沸かして入る。
(子宮とマタールナを入れ替えたことにはまだ誰も気付いてないはず……)
とはいっても過干渉な親や私のことを1つ目女と呼ぶような同級生はいないから、この生活のままでも良いかもしれない。
風呂から上がって身体を拭き、寝間着を着てドライヤーで髪を乾かす。
寝るまでの時間は今日習った内容のノートを振り返って、22時ごろに就寝した。
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まだ夏で日の出が早いからなのか、4時に目が覚める。
二度寝することも考えたが寝つけられなさそうな気がして、洗顔して服を着替えた。
朝食の為に食堂が開くのは6時半からだ。
このまま部屋にいても退屈だから、廊下に出てみる。
朝早くの廊下は静まりかえっていて、この建物に私だけが取り残されているような気分になった。
窓にふと目を移すと、外には地面が砂でできた校庭のような広場と人影が見える。
(せっかくだし、ランニングとかしてみるか。)
階段を下ってすぐの広めな玄関から、私の運動靴を履いてその広場に出た。
何も置かれてない広場を数週程走る。
ランニングをしていると、中学に通っていたときに体育の前に準備運動として校庭の周りを走っていたときのことを思い出させた。
(あの頃よりは体力がついてきたかな。)
息を整えてから屋内に戻ろうとすると、さっき見えた人影がこっちに来た。
「お前がわざわざ朝早くにランニングするとは思わなかったわ。9時すぎまで寝てそうな奴だと思ってたのに。」
「あ、どうも。その……草薙さんはなぜ早朝にここにいたんですか?」
「別に、ただ早く起きれたときに外の広い場所にいると気持ちがなんか落ち着くだけよ。つ〜か、質問の仕方が無遠慮ね。」
「私に9時すぎまで寝てそうな奴と言ってきた人に、無遠慮とは言われたくないですね。改めて、朝日を浴びるとセロトニンが分泌されて精神が安定されるんですかね。それに自律神経が、」
「あ〜もう!知識マウントをとりたがる奴みたいになってるわよ!おかげで気持ちの落ち着きが完全に無くなったわ。」
「それは良かったです。気持ちに落ち着きが無いのは、私に話しかけたときからだと思いますが。さらに草薙さんの悩みでも聞いてあげましょうか?」
「いちいち態度が大きいわよ。……あと、あたしのことは陽翠って呼びなさい。一応お前1つ年上なんだから。」
「年上相手にただでさえタメ口で、しかも無礼なことを陽翠は言ってきましたね。」
「1歳しか違わないでしょ。」
「年齢層の広い職場ならまだしも、部活の中での1歳年上なら丁寧に接するべきですけどね。」
「お前とあたしは、先輩と後輩なんて関係じゃないわよ!……話を戻して、悩みと判断していいのかは知らんけど語らせてもらうわ。」
(悩み聞くことは冗談で言ったつもりだったがまあいいか。)
「7年前にお前があたしからマタールナを騙し盗ってから、1年以内に右腕を骨折したわよね?」
「半年後に交通事故で骨折しましたね。右腕の骨折どころか、右目が失明したけど。」
「マタールナを手に入れた奴は必ず1年以内に何らかの原因で右腕が骨折しているのよ。草薙家の人間を除いて。」
「オカルト的な噂ではなく、統計上としてですか?」
「そうよ、もしかしたら他にもいるかもしれないけど。20年前に草薙家以外の1人の人間にマタールナを手に入れさせ、絶対に右腕を骨折しないような環境に身を置かせるとどうなるかの実験もあったわ。結果は丁度1年後に、何故か右腕の骨がずれて骨折になっのよ。」
「……実験に使われた人は誰なんですか?」
「現在はあたしの家庭教師である、伊勢先生よ。お前にも勉強教えてるんだっけ?」
「1日7時間教わっています。」
「ふ〜ん。……まあ、そんなわけで草薙家の人間っていうのは特別なのよ。1976年にアメリカで月の研究をしていた草薙若竹がマタールナに触れる機会があって1年以内に右腕が骨折しないと判明したときから、草薙家は代々マタールナの研究者の家系になったわ。」
「家系と言う割にはずいぶん最近からですね。」
「うっさい。あたしも生まれたときから、マタールナの研究者という将来を決定されているのよ。別に幼いときから知ってたから違う職に就きたいわけではないけど、お父様とお母様があたしの将来を勝手に決めることが何か嫌に思えるときがあるわ。」
「へ〜、そうですか。」
「せっかく悩みを話したんだから、もっと共感するとか解決策考えるとかしなさいよ。」
「あくまで悩みを聞くと言っただけなので、聞く以外のことは期待しないでください。」
「酷っ!」
「日本国憲法第13条の幸福追求権に、陽翠の毒親は違反しますね。もしかしたら、民法709条の不法行為と刑法224条の強要罪も犯しているかもしれません。そいつらは人権侵害していることは確定なので、」
「また知識マウントみたいになってるわよ!それに、あたしのお父様とお母様を毒親と呼ばないで!」
「陽翠にとって難しいことを言うだけで、知識マウント扱いはやめてください。あと、子供の進路を決めるようや親が毒親なことは事実です。」
「そう。……お前と話してたら、少しは気が軽くなったわ。あたしは屋内に戻るわよ。」