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#闇バイト
るしゅ
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土橋真二郎
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俺は結局、
【YES】
を押した。
押した瞬間に後悔した。
「俺、何やってんだろ……」
スマホをベッドに投げる。
普通なら断る。
普通なら逃げる。
普通なら。
だけど今の俺は普通じゃなかった。
十万円を受け取ってしまった。
その現実が重かった。
数秒後。
メッセージが届く。
【参加を確認しました】
【会場へお越しください】
会場?
前回はコインロッカーだった。
今回は違うらしい。
送られてきた住所を見る。
都内の雑居ビル。
聞いたこともない場所だった。
その日の夕方。
俺は指定された場所へ向かった。
エレベーターのない古いビル。
三階。
薄暗い廊下。
なんとなく帰りたくなる。
でも帰れない。
三十万円が頭から離れなかった。
指定された部屋の前に立つ。
深呼吸。
そしてドアを開けた。
「……え?」
思わず声が漏れた。
人がいた。
一人じゃない。
二人。
三人。
四人。
俺と同じくらいの年齢の男女。
みんな椅子に座っていた。
部屋の空気が少しだけ和らぐ。
なんだ。
俺だけじゃなかったのか。
正直ホッとした。
同じような仕事をしている人がいる。
それだけで安心した。
「初めて?」
突然声をかけられた。
振り向く。
茶髪の男だった。
二十歳くらい。
笑顔が軽い。
「まぁ……二回目だけど」
「あー、俺もそんなもん」
男は笑った。
「めっちゃ怪しいよな」
「だよな」
思わず笑ってしまう。
それから少し話した。
男の名前は海斗。
フリーターらしい。
他の連中も似たような感じだった。
大学生。
派遣社員。
無職。
特別な人間はいない。
どこにでもいそうな若者ばかり。
その時だった。
部屋のモニターが突然点灯した。
全員が振り向く。
画面は真っ黒。
人の姿は映らない。
代わりに文字だけが表示された。
【本日の案件を説明します】
部屋が静かになる。
誰も喋らない。
文字が切り替わる。
【荷物の受け取り及び運搬】
その瞬間。
部屋の空気が少し緩んだ。
なんだ。
また同じか。
俺もそう思った。
だが。
次の文章を見て。
なぜか胸の奥がざわついた。
【質問は禁止です】
【指示に従ってください】
【従えない場合は報酬の支払いを停止します】
さっきまで笑っていた海斗も黙った。
静かになる部屋。
俺は画面を見つめる。
理由は分からない。
でも。
ほんの少しだけ。
嫌な予感がした。
(第六話へ続く)
コメント
1件
もう仲間がいるってだけでちょっと安心しちゃったよ…でもその後の「報酬停止」の文言、めっちゃ怖い。普通のバイトにはない圧がじわじわ来てる感じがして、心臓がきゅってなった。るしゅさんの空気の描き方、ほんと上手ですね。次どうなるか気になる。