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「───ごめん」
え、とみんなが困惑の声を出した。それもそうだ。いきなり、アジトへ帰っている途中で謝罪の言葉を出されるなんて、困惑以外の何があると言うのか。
そんな謝罪を口にしたのは、紛れもないぺいんとさんで。
「あの時、俺がちゃんと後ろを確認しとけば……それで、防弾スーツも」
相手はどこか、悔しげな顔をして歯をギリギリと鳴らした。
「……いまさら、何言ってんの。それに、俺たちも悪かったよ。ぺいんとが謝ることじゃない」
クロノアさんの一言に感化され、続けてトラゾーさんも喋る。
「そうだよ、ぺいんとは悪くない。悪いのは往生際が悪かった相手なんだから!」
しにがみさんも何か一言、とでも言うような目配せをされ、自分もぺいんとさんのほうへ向き直る。
「……きっと僕たち、仲がいいから譲れなかったんですよ。謝らせることも、傷つけることも。ね?」
みんなのそんな言葉が響いたのか、ぺいんとさんはぱっと明るい笑顔の華を咲かせた。
「うん……! じゃあ、今日はみんなで帰ろう!」
みんなで帰る。
いい響きだと、改めて思った。明日もみんなで帰れるかなんてわからない。だからこそ、この言葉は心に留めておくほうがいい。
「んじゃあしにがみさん、後ろ頼めます?」
「え?」
ふとトラゾーさんから言われた言葉に困惑する。なぜ僕が後ろなのだろう、並び順なんてどうでもいいだろうに。
「いや、しにがみさんマップ持ってないでしょ?」
その言葉に、あ、と声を漏らした。
「そうでした。3人とも持ってるんですよね?」
「うん。でも今日はぺいんとが前、ぺいんとの後ろが俺、俺の後ろがトラゾー。トラゾーの地図だけ、印刷ミスしたからどうせわかんないしね」
「クロノアさんが印刷したくせに」
「ご、ごめんって……」
あはは、と笑い合う声を聞いて、安堵した。いつも通りの日常が、この手に戻ってきたのだと思うと嬉しくてたまらない。
「……?」
ふと、匂いがした。
すんすんと嗅げば、どうやら最近話題の香水の匂いだ。男の人に人気で、女性ウケの匂いでもあるらしい。
でも、PKST団にそんな流行りの香水を買った人なんて───
「しにがみさん、しゃがんで!!!」
「え?」
ふと聞こえた、緊迫感のあるトラゾーさんの声。いつものような大きな声だったのに、今日は鼓膜が破れるんじゃないかと思うほどに大きかった。
ただ、しゃがむって、なんで?
「トラゾー?!」
次に続いたのは、ぺいんとさんの驚いた声。
一体、何が起きているんだ。
そんな疑問を頭に残したまま、僕の前で歩いていたトラゾーさんは列から外れ、僕の後ろに回り込む。
───直後、耳をつんざく甲高い音がした。
パン、と花火でも上がったような、はたまた風船でも割れたような、それに似た音。
森にいるカラスたちが一斉に飛び出し、すでに真っ暗な夜の中を浮遊した。
「───へ、」
それと同時に、トラゾーさんの下腹部から咲いた真っ赤な華。
鉄臭くて、べっとりとした、色黒い赤。
──────また守れなかったな。
そんな言葉が、脳裏に響いた。
紫秋_4aki.
5,555
#日常組
tagu2026226
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✝∆∇ナツメイロハ∇∆✝
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