テラーノベル
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⚠︎短いです⚠︎
玄関の扉が閉まる音が、静かに響いた。
部屋に残ったのは、
言葉にしなかった違和感だけだった。
「……今の」
権兵衛が、ゆっくり息を吸う。
「名前……呼べなかったよな」
光子郎は答えず、机の引き出しを開けた。
古い資料。
依頼の記録。
走り書きのメモ。
「何を探してる?」
「残ってるはずなんだ」
淡々とした声だった。
「名前。
あいつの痕跡」
紙の束をめくる音だけが続く。
権兵衛は、その場に立ったまま動けなかった。
「……俺さ」
ぽつりと零す。
「自分が、怖い」
光子郎の手が止まる。
「大切だって分かってるのに、
思い出せなくなるんだ」
喉の奥が、詰まる。
「忘れたくないのに……」
光子郎は一枚の紙を引き抜いた。
そこに書かれていた文字を、指でなぞる。
「……八重桜」
少し間を置いて、続ける。
「純」
胸の奥に、確かな重みが戻る。
声
表情
無理に笑う癖
思い出せる。
でも、放っておけばまた削れる。
「……記録しよう」
光子郎が言った。
権兵衛は、無言でノートを開く。
ペンを持つ手は、少し震えていた。
ゆっくり、書く。
八重桜純
改行して、もう一度。
八重桜純
文字が重なる。
薄くなりそうな存在を、
紙に押し付けるみたいに。
ページが埋まっても、止めない。
ノートは、やがて黒く染まった。
それでも、二人は書き続けた。
――忘れないために。
――思い出せなくなっても、残すために**。
続き⇨♡700
(多いですよね…ごめんなさい…)
コメント
6件
え、?もう一回叫ぶよ…?((殴 叫ぶなアホ

天才ですか??神作すぎて泣いた(´;ω;`)
2日連続投稿お疲れ様です!無理しないで頑張ってください! 良かった…皆が思い出してくれて…ホッ それにしても光子郎さんも権兵衛さんもすごい行動力だなぁ… 続き待ってます✨ ((o(´∀`)o))ワクワク