「………」
スマホを、耳から離して床に落とす…
【俺が翔太貰うから…】宮舘の言葉が耳から離れない
『何だよそれ…』
頭の中から追い出したくて、乱暴に頭を振るが…当然、そんな事が出来るはずもない
「照、大丈夫?」
突然暴れ出した岩本に、そっと触れて覗き込む
「!」
岩本は自分に触れた深澤の手を、乱暴に引いて押し倒した
『翔太がその気なら、俺だって…』
衝動に任せて組み敷くと、下から見上げる深澤が…意味深な視線を投げかけて来た
「照、良いよ。俺で良いなら好きな様に抱けよ…」
「………」
嫌がる素振りも見せず、深澤は微笑んでそう言うと…手を上げて、岩本の頬にそっと触れた
「………」
一体何が起こっているのか理解出来ない…
押し倒したのは自分のはずなのに、下に居る深澤は…まるで誘う様に、岩本の目を見つめて逸らさない
「…………!」
根負けしたのは岩本の方で、勢い良く深澤の上から飛び退いた
「ごめん、ふっか…翔太が目黒の家に行ったって聞いて、俺…お前に酷い事…」
背中を向けた岩本が、手で顔を覆い涙声で謝って来た
「………」
何も答えず、深澤はゆっくりと身体を起こす…
照の翔太に対する想いが、こんな事位で壊れるモノでは無いと
以前、翔太の手首についた痣を見た時から気が付いていた…
「はは…っ…」
それでも良い…
一度だけでも抱かれたいと思ってしまった滑稽な自分自身に、思わず笑いが込み上げて来る
「………」
部屋の中を沈黙が包み、深澤は岩本の背中を見つめている
「もう行けよ…もう自分の気持ち、気付いてるんだろう?」
丸まった背中に向けてそう言うと、岩本がこちらを振り向き目が合った
「ごめん、俺…」
再び謝ろうとする岩本に…深澤がそれを止めて口を開く
「謝罪なら後でいくらでも聞いてやる。だから今は早く行け!」
「!」
深澤の言葉に背中を押される様にして、岩本が立ち上がる
「ありがとう…」
そう一言だけ伝えると、岩本はそのまま部屋を後にした
コメント
4件

な、流されなかったー!ひーくんありがとっ!!!🥹