〜20XX年〜
人が神を慕っていた時………とは違う現代。
神は人の信仰が無く消えて居なくなる者が続出した。
そして…この神社でも…。
ある竹林の中にある神社。
昔はとても綺麗で美しい神社だったが…
今は廃れてボロボロになっていた。
だが、まだ神は生きていたのである。
『母様っ!母様っ!栗を拾ってまいりました!』
そんな元気な声で母の元に駆けつけるのは
妖狐の娘…雪である。
………雪の母はもう喋れなくなっていた。
『母…様…』
雪は冷たくなる母狐の尻尾を撫でながら
思い切り泣いた。
一晩中…誰もいない神社で…
ただひたすら泣いた。
翌朝…。
雪は竹林を出た。
もうすっかり竹林の外の世界は変わっていた。
『もう母様と見た草原は無くなったのか…』
白い耳がぺたっと垂れる。
数秒後ふるふると首を振って雪は歩き始めた。
行先はないのでただぶらぶらと歩いていた。
現代風の服に身を包み
……耳は目立ってしまうのでフードを被り
人混みの中歩いていた。
『背が小さいと困るなぁ…』
そう独り言を発した。
夜になり路地裏で1人休憩をしていると…
にゃー
と何かの鳴き声が聞こえた。
『む?野良の猫か?』
猫は好きなので見に行くことにした。
『ほほう…黒か』
黒猫がいた。
『ほれ、神が撫でてやろう!よぉしよぉし』
にゃんにゃぁ…
とお腹を見せて甘えてくる。
『こやつ…野良の癖にやけに人懐っこいなぁ…』
と言いながら撫で続けていた。
しばらくして…黒猫は満足したのか走り出した。
『じゃあな〜』
と手を振ると同時に
キーンという金属音が聞こえた。
なんじゃろう…と思い
その音があった場所に行くと
指輪があった。
純金なのか…最近は凄いのう…
と思い、好奇心からか
指輪をはめてしまっていた。
と、同時に立ちくらみがした。
私はその場に倒れ…眠ってしまった。
目が覚めるとそこは暗い空間だった。
『む?私は死んだのか…?』
死んだなら母様のところに行かせて欲しいと思ったが…
「いいえ、死んでいないわ」
と目の前に黒猫…それも喋る黒猫がいた。
『………お前…神か?』
必死に警戒する。
「……神…ねぇ」
そう言ってくすくす笑う黒猫。
『な…なんじゃお前は!」
「まぁそんな事は置いておいて…お願い、雪」
は?
何故私の名前を知っている。
記憶が読める神なのだろうか。
「彼らを助けてあげて…」
『彼らとはなんじゃ!』
「………もう時期分かるわ」
と言われた途端。
また立ちくらみがした。
次に目が開いたのは…。
「主様…主様…」
という優しい男の声が聞こえる。
『む…ここはどこ…じゃ…?』
「!目が覚めたんですね良かった…」
安心したようにほっとする男の瞳は
桜を連想させる様な桃色だった。
『人間か…?』
いや…この気配は違う…なんだこれは…?
「人というかなんというか…」
『じゃあ何ぞ?』
と、問うと彼の口元が三日月形になり
「ふふ…悪魔執事です♪」
と言った。
『悪魔…執事…?』
そんなのは聞いた事がない。
『…………お主の名前は?』
そう問うと彼はニコッと微笑んだ。
その微笑みに私は心の臓が早く脈打つのを感じた。
………なんじゃこの感覚…?
そう思ったその時。
「私の名前はベリアン・クライアンです主様♪」
目の前でその優しい微笑みを見せながら名前を教えてくれた。
妖狐と悪魔が出会う瞬間だった。
コメント
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神様か……。クッソ癖に刺さる様なキャラだしてきやがって最高かよ(?)